流通の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 18:16 UTC 版)
「朝鮮民主主義人民共和国ウォン」の記事における「流通の状況」の解説
北朝鮮では1990年代から食糧難や物資難など経済状況が悪化し、闇市場の拡大とともに国内の取引でも直接外貨が流通するようになった。北朝鮮は1979年から外貨を国庫に回収するため外貨兌換券(トンピョ)を発行し、外交官などが外貨を使用するときは平壌など約20か所にあった外貨商店で外貨を外貨兌換券に交換して使用していたが、闇市場の拡大で外貨兌換券との交換が少なくなったため2002年7月に外貨兌換券は廃止された。 詳細は「兌換ウォン」を参照 本来ならば北朝鮮国民が外国通貨を使用するのは違法であるが、ヒューマン・ライツ・ウォッチが実施した脱北者の聞き取り調査の報告書によれば、外国通貨を使用して罰則を受けた者は『誰も居ない』と証言している。 2009年11月30日のデノミ実施以降、外貨の流通は全面禁止され、外国人も直接北朝鮮ウォンで支払うこととされた。ただし、開城工業団地では2015年まで米ドルが流通していた。 実際には外貨の使用が継続していたが、経済の回復で2015年頃から再び北朝鮮ウォンの使用機会が増えているとも伝えられた。 一方、2010年末頃から北朝鮮では電子マネーを導入し、外国人は電子マネーカード「ナレ」(朝鮮貿易銀行発行)での支払いか外貨による直接支払いを求められているという情報が外国人旅行者から伝えられた。なお電子マネーへの入金は北朝鮮ウォンにて行われるが、外貨からの両替は、実勢為替レートとかなりかけ離れた国定為替レートによって行われている。 2021年9月、韓国メディアのアジアプレス・インターナショナルは臨時の朝鮮中央銀行金券(トンピョ∶돈표)が発行されていることを写真を入手して報じたものの、朝鮮中央通信はこの件に関していまだコメントしていない。臨時金券の発行について様々な分析が出され、外貨保有高の減少が原因で外貨兌換券を再発行しているという分析や、外貨難で中国から紙幣印刷用の紙とインクを輸入できなくなったため一時的に国産の紙で臨時金券を発行しているという分析が報じられている。
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