洗うことについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/21 08:00 UTC 版)
穂先に墨が残らないようによく水洗いする。ただし、作られてすぐ水に長時間浸すことは、毛に水が入り込み膨らんでキューティクルの隙間が大きく開き、毛が切れやすくなる。同じ理由で、穂先を固めるためのノリ成分を、水に長時間さらして落とすのは適当でない。 小筆を洗う場合は、穂先を擦り切らせないよう気をつける。 根元については、よくすすぎ、根元にニカワ分が残らないようにする。ニカワ分が溜まると、膨張するなどして筆管が割れるので注意が必要である。ニカワは、ぬるめの湯に一番溶けやすいので、湯で洗うのが毛に最も良い。 毛の根元の墨を口で吸ったりして吸い出すことがよく行われているが、品質の良い固形墨・墨液では構わないが、品質について信用できない墨汁(前述のように海外の魚や動物の骨や皮から抽出したコラーゲンを使ったり、化学的に合成した接着剤成分などをニカワの代わりに用い、腐らせないように防腐剤が入り、工業製の香料を使っている)などを口に入れることは不衛生であり健康被害・アレルギーなどに注意する。また防腐剤が入っていない墨を磨り、作り置きして使う場合は、大変腐りやすいのでこれも口に入れないこと。 スス成分が溜まることは長持ちに繋がるので、ニカワの成分だけをよく落とすのが大事である。黒い墨の色が薄く沈着するのは性能が引き出されていることを示していると言って良いので、洗いすぎて傷めないよう注意する必要がある。
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