河合栄治郎の社会思想モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/20 21:15 UTC 版)
「社会思想」の記事における「河合栄治郎の社会思想モデル」の解説
古今東西の社会思想の中で、独自の社会思想を構築した者は多いが、その中で社会思想とはどういうもので、どういう要素を備えたものでなければならないか、いわば社会思想類型論を唱えた者としては、日本の河合栄治郎が特筆である。河合によると、広義の社会思想は次の四つの要素を備えている。そのうちの③社会思想が狭義の社会思想である。 ①「世界観・哲学」=例えば本体論(現用語では存在論)、認識論、欲望論(哲学的人間観)、道徳哲学、社会哲学 ②「現存社会の分析・剖」=例えば社会理論、経済理論(社会科学) ③「社会思想」=現存社会への保守、改革の態度=例えば保守主義、自由主義、社会改良主義、社会主義 ④「政治思想」=対案である社会秩序の実現方法=例えば議会主義、暴力革命主義、独裁主義 河合はマルクス主義の体系、ベンサムの体系、J・S・ミルの体系などを調べて、優れた社会思想の体系は上記のような構造になっていることを突き止めた。ただ、各社会思想家によって、力点の置き方が異なっていたりするのは事実である。例えば、②現存社会の分析・解剖や④政治思想なしに③社会思想だけを唱えたのが空想的社会主義であり、①、②、③、④がバランスよくすべての分野で理論を持っているのが、マルクス主義やベンサム、ミル思想である。今のところ、この四要素説に代わるべき考え方は誰からも出されていない。
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