水素結合に関する先進的な理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 06:26 UTC 版)
「水素結合」の記事における「水素結合に関する先進的な理論」の解説
1999年に、Issacらは、通常の氷のコンプトンプロファイルにおける異方性 (anisotropy) の解釈から、水素結合は部分的に共有結合性があると証明した。タンパク質における水素結合のいくつかのNMRデータも共有結合性を示している。 最も一般的には、水素結合は2つあるいはそれ以上の分子間結合の距離依存的静電スカラー場として記述される。これは、共有結合やイオン結合における分子間束縛状態とは若干異なっている。しかしながら、相互作用エネルギーが合計すると負の値を取るため、水素結合は通常束縛状態の現象である。ライナス・ポーリングによって提唱された初期の水素結合理論では、水素結合が部分的に共有結合性を持っていることが示唆されている。これは、1990年代後半にF. CordierによってNMR法が適用され、水素結合した原子核の間で情報が転送されることが示されるまで論争の的であった。この情報の移動は水素結合が共有結合性を含んでいる時にしか起きない。水における水素結合について多くの実験データが分子間距離のスケールや分子熱力学についてよい解答を与えたが、動的システムにおける水素結合の分子運動や動力学の性質については未解決のままである。
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