水成論者と火成論者の論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/03 04:05 UTC 版)
火成論として知られる、対立する理論では、岩石は火の中で形成されたと主張された。これは最初、イタリアの博物学者アントン・モーロ(1687–1750) により火山島の研究に関連して提案されたもので、ジェームズ・ハットンにより取り上げられた。彼は岩石は風化と侵食により削れ、熱と圧力により再形成され持ち上げられるという、無限の時間にわたり広がる斉一的な岩石輪廻の理論を提唱した。 水成論者は火成論者とは異なり、玄武岩は化石を含む堆積物であり、火山由来ではありえないという考えを持っていた。ハットンは玄武岩は化石を含むことはなく、常に不溶性、硬質、結晶質であると正確に主張した。彼は玄武岩が他の岩石の層を突き破った地層を発見し、これは玄武岩が地球の地殻の下の溶融岩に由来するという彼の理論を支持した。 議論が行われたのは科学者間だけではなかった。当時最も尊敬を受けていた作家の1人であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは水成論者を支持した。彼の著名な作品『ファウスト』の第四幕には水成論者と火成論者の対話があり、後者は悪魔である同劇の敵対者メフィストフェレスである。このようにすることでゲーテは暗に水成論者を支持すると表明したが、ときに明示的にときどき他の場所では厳しく表明することもあった。 論争は19世紀初頭まで続いたが、1830年代のチャールズ・ライエルの業績により徐々にハットンと火成論者の斉一主義的思想の支持を集めた。しかし、石灰岩のような堆積岩は水成論者により説明されたような過程から生じたと考えられているため、現代の理論は2つのアプローチを統合したものと見ることができる。
※この「水成論者と火成論者の論争」の解説は、「水成論」の解説の一部です。
「水成論者と火成論者の論争」を含む「水成論」の記事については、「水成論」の概要を参照ください。
- 水成論者と火成論者の論争のページへのリンク