水の色は水色だから秋明菊
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 秋 |
出 典 | |
前 書 | |
評 言 | 強い植物だそうだ。アネモネの仲間で9~10月ころ開花。高く伸びた茎の上に大柄な花をつける。以前から庭にいっぽんあったらいいなと思っていた。そんな或る日不意に、一株貰う事に。早速、庭に深く穴を掘り植える。が、白花が枯れ、葉は縮こまり茎も枯色。あれこれしているうちに茎を短くバッサリ切った。あと肝心なのはたっぷりの水。毎日毎日水をやる。その間雨も降った。どうか、根が付きますように。地べた擦れ擦れに近づき根っこを励ます。 さて、水は水色という。透明でなく雨の色でも海の色なく、ではどんな色?というとわからない。手に掬って“この色です”と差し出すしかない。曖昧でじれったくて、冷たくて温くて一体どんな色!!魂いろとも違う。やはり、水は水色である。平らな水は水色……だから秋明菊に限る。 鳴戸氏は、昭和51年、永田耕衣主宰「琴座」に入会。後に同人。54年、俳句研究会「らんの会」を結成。現在、同人誌「らん」発行人。平成9年、現代俳句協会賞受賞。句集に「イブ」「天然」「月の花」多数。評論集に「言葉に恋して―現代俳句を詠む行為」「歳時記の経験」。そして共英訳書に「この世のような夢―永田耕衣の世界」。 句集「永遠に咲いて」より (現代俳句コレクション・1/2012年4月5日発行) 水色の影とふたりや蓮の花 水溜り冬のはじめは春に似る 春惜しむにはあらずコップの水あふれ 陽のいろの涼しさにまたみずうみも 師宣う水母になんぞ学ぶこと多き 水と書き涙思わる秋まひる 撮影:青木繁伸(群馬県前橋市) |
評 者 | |
備 考 |
- 水の色は水色だから秋明菊のページへのリンク