気象と芸術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/09 04:21 UTC 版)
ルネサンス以降の西洋絵画で遠近法が導入されると、雲や霧は空間の奥行きを示すものとして描かれるようになった。18世紀に気象学者のルーク・ハワードが雲の分類と体系化を行い、芸術における雲の描写は、水蒸気の生成変化として科学的に表現できるようになった。ハワードの理論は画家のジョン・コンスタブルに影響を与え、コンスタブルは雲についての習作を描いた。画家のターナーは、ロンドンの霧を初めて描いたともいわれ、自然現象としての霧と人工物である蒸気機関の霧が混じり合う『雨、蒸気、速度――グレート・ウェスタン鉄道』(1844年)などの作品を発表した。 中谷芙二子の父親である物理学者の中谷宇吉郎は、雪の結晶を研究して世界初の人工雪の制作に成功した。宇吉郎は、ウィルソン・ベントレーの『雪の結晶』という写真集がきっかけで雪の研究を始めたが、写真に撮られるような整った雪の結晶は自然環境においては少なく、変形した結晶が多いことに気づいた。宇吉郎は、美しいとされる結晶だけが写真に撮られ、人々に鑑賞されることを問題視した。そして、雪の結晶が形成されるプロセスをナカヤ・ダイヤグラムとして明らかにした。
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