民事執行手続の停止等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/19 15:34 UTC 版)
特定調停に係る事件の係属する裁判所は、事件を特定調停によって解決することが相当であると認める場合において、特定調停の成立を不能にし若しくは著しく困難にするおそれがあるとき、又は特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるときは、申立てにより、特定調停が終了するまでの間、特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命ずることができる(特定調停法7条1項本文)。これは、一般の執行停止(民事訴訟法398条、民事執行法36条、民事保全法27条など)よりも緩やかな要件で執行停止を認めるものであり、また、特定債務者が立担保の資力に乏しい事案が多いことから、無担保で発令されることも少なくない。 この他、調停委員会又は裁判官は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる行為の排除を命ずることができる(調停前の措置。同法22条、民事調停法12条1項、15条)。調停前の措置は、執行力(強制執行の手続により命令の内容を強制的に実現し得る効力)を有しない(同条2項)とはいえ、無担保で迅速に発令されることから、不渡り及びそれに伴う銀行取引停止処分を回避すべく、手形の取立禁止命令の申立てがしばしばなされる。
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