悪女
(毒婦 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/26 01:01 UTC 版)
悪女(あくじょ)は、悪い女性のことを意味する。
邪悪な場合は毒婦(どくふ)とも呼ばれていた[1]が、こちらは既に死語となっている[1]。
悪女というタイトルの作品は以下を参照:
- 悪女 (中島みゆきの曲) - 中島みゆきのシングル。
- 悪女 (漫画) - 深見じゅんの漫画及びこれを原作にした日本テレビ系列のテレビドラマ。読みは「わる」。
- 悪女 (1964年の映画) - 1964年の日本映画。渡邊祐介監督。
- 悪女 (2004年の映画) - 2004年のアメリカ映画。リース・ウィザースプーン主演。原作はウィリアム・メイクピース・サッカレーの『虚栄の市』。
- 悪女 (安心亜のアルバム) - 中華民国台湾のタレント安心亜(アンバー・アン)のアルバム。2011年リリース。
- 悪女/AKUJO - 2017年の韓国映画。
- 悪女(ケータイ小説) - 映画館(ケータイ小説作家)のケータイ小説。魔法のiらんど文庫より上下巻が刊行されている。
容姿における悪女
悪女は容姿の悪い女にも用いられ、美女の対義語として使われている[2]。例えば中国の史記には以下のようにある:
この「美女は悪女の仇」という諺は日本でも『毛吹草』(1645年)や『諺草』に収められ、『武道伝来記』(1687年)などに用いられた[4]。
性質における悪女
中国
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日本
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古典や伝統芸能、伝承における悪女
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古典では日本においても継子いじめ譚が複数存在していた(継子いじめ譚#日本を参照)。
また女の姿になる妖怪としては山姥、磯女、雪女、妖狐などがあり、このうち妖狐の玉藻前は典型的な悪女と言われている[5]。
毒婦物
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江戸時代には歌舞伎において毒婦物(悪婆物)が流行した。毒婦として取り上げられた実在ないし架空の人物には以下が居る(カッコ内は作品名):
- 三日月おせん[6][7](『大船盛鰕顔見世』等)
- 土手のお六[6][8](『杜若艶色紫』等)
- 切られお富[6](『処女翫浮名横櫛』)
- 蟒お由[6](『蟒於由曙評仇討』等)
- 鬼神のお松[6][9](『新板越白浪』等)
- 白浪五人女[6](『処女評判善悪鏡』等)
- 女定九郎[6](『忠臣蔵後日建前』等)
- 妲己のお百[6][10](『善悪両面児手柏』等)
また明治時代にも以下の人物の毒婦物の文学が流行した[11][6]。
映画における悪女
1950年代のフランス映画などには悪魔的な映画が多く存在し[12]、日本においても1955年にフランス映画『悪魔のような女』[注 1]が、1957年にフランス映画『素直な悪女』[注 2]が、1959年にフランス映画『可愛い悪魔』[注 3]が上映されていた。一方、日本の映画にはそのような悪魔は居なかったと言われている[13]。
しかしながら1960年代には日本映画からも悪女ものが登場した。1964年には東宝から『二匹の牝犬』『悪女』を始めとする"悪女"シリーズが登場し、それらの主演であった小川真由美は悪女女優とレッテルを貼られるようになっていた[14][15]。
その他、女優の白石奈緒美も同様に悪女を演じるイメージが付いていた[16]。
フェミニズムブームにおける悪女
1970年代にキャリアウーマンが話題となり、また1976年にエリカ・ジョングの小説の邦訳『飛ぶのが怖い』が登場して「翔んでる女」が注目されると、1978年にはエッセイ集『知的悪女のすすめ―翔びたいあなたへ』(小池真理子)が登場した[17]。同エッセイ集では知的悪女を「表では知的で冷たく振る舞いながらも裏には情熱や色気がある魔性の女」と定義していた[18]。
また女流作家による小説『不毛地帯』『和宮様御留』が人気となって、文壇において女性が台頭してくる中で[19]、1978年には女実業家の悪女物の小説『悪女について』(有吉佐和子)が登場して[17]テレビドラマ化され人気となった。
テレビドラマにおける悪女
前述の「悪女について」に続いて、テレビドラマでは悪女の付くタイトルの作品が多数登場した:
小悪魔ブームにおける悪女
2004年にはエッセイ書『小悪魔な女になる方法』(蝶々)が登場して小悪魔系女子がブームとなり[21]、2005年には小悪魔を冠する女性誌『小悪魔ageha』が登場し、小悪魔は知的悪女と異なり女性にも受け入れられたとされる[21]。
上記のエッセイでは小悪魔は自分の女性性を楽しむイメージであるとし、「憎めないチャーミングさ」があるから男の人生を狂わせる悪いだけの女とは違う、悪女ではないと強調していた[22]。
一方、小悪魔の流行は『プチ〇〇』ブームの延長にあるともされ[21]、2005年には大人の小悪魔をプチ悪女と言い換えたエッセイ本『愛される「プチ悪女」のすすめ』[注 4](小島悠)も登場した[23]。
悪役令嬢ブームにおける悪女
女性向けWeb小説ではケータイ小説やドリーム小説に次いでWeb小説サイト『小説家になろう』などでの転生小説(いわゆる「なろう系」)が盛り上がると乙女ゲームの悪役令嬢への転生小説がブームとなった。
悪役令嬢物では悪役令嬢へと転生してしまい断罪されないように善人として立ち回るのが一般的であるが、そのなかから悪女を目指す『歴史に残る悪女になるぞ 悪役令嬢になるほど王子の溺愛は加速するようです!』が登場、2024年にアニメ化された[24]。
注釈
- ^ 原題:『Les Diaboliques』(直訳: 悪魔たち)
- ^ 原題:『Et Dieu... créa la femme』(直訳: そして神は…女を創造した)
- ^ 原題:『En cas de malheur』(直訳: もし不幸ならば)
- ^ 小島悠、監修 藤田憲一『投資される女になるための99のウラ技 愛される「プチ悪女」のすすめ』 ゴマブックス 2005年 ISBN 978-4777102136
出典
- ^ a b 毒婦(どくふ)の言い換え・類語・同義語 - 類語辞書 - goo辞書(2025年時点のキャッシュ) NTTドコモ
- ^ 悪女 コトバンク
- ^ 塚本哲三 編 『史記 第3』 p.387 有棚堂書店 1920年 [1]
- ^ 藤井乙男 編『諺語大辞典』 p.843 有朋堂 1910年 [2]
- ^ 鈴木紀子、林久美子、野村幸一郎『〈悪女〉の文化誌 (京都橘大学女性歴史文化研究所叢書)』 p.67 晃洋書房 2005年 ISBN 978-4771016323
- ^ a b c d e f g h i 毒婦物(どくふもの)とは? 意味や使い方 コトバンク
- ^ 三日月お仙 コトバンク
- ^ 土手のお六 コトバンク
- ^ 鬼神のお松 コトバンク
- ^ 妲己のお百 コトバンク
- ^ 本間久雄「似而非悪魔主義—所謂毒婦物の考」『近代芸術論序説』 p.292 文省社 1925年 [3]
- ^ 悪魔研究会 編『悪魔の研究』 pp.58-62 六興出版部 1959年 [4]
- ^ 悪魔研究会 編『悪魔の研究』 p.62 六興出版部 1959年 [5]
- ^ 伊豫田康弘『テレビ史ハンドブック』 自由国民社 1996年
- ^ 「トピックコーナー」『映画情報 31(6)(166);6月号』 国際情報社 1966年6月 [6]
- ^ 『年刊現代に生きる女性事典 1982』 p.175 日外アソシエーツ 1982年12月 [7]
- ^ a b 『Japonica時事百科 : 大日本百科事典編 1979』 p.193 小学館 1979年4月 [8]
- ^ 小池真理子『知的悪女のすすめ―翔びたいあなたへ』 pp.13-14 山手書房 1978年 [9]
- ^ 出版年鑑編集部 編『出版年鑑 1979年版』 p.54 出版ニュース社 1979年4月 [10]
- ^ a b c d e f g h i j k 『テレビドラマ全史 1953~1994 TVガイド』東京ニュース通信社 1994年5月
- ^ a b c 『現代用語の基礎知識 2006』 p.1228 自由国民社 2005年11月4日 ISBN 978-4426101244
- ^ 蝶々「おわりに - さあ、恋愛人生を思いのままに楽しもう」『銀座ホステス作家の実践テク147 小悪魔な女になる方法: ミステリアスなイイ女は、あらゆる男を夢中にさせる』 大和出版 2004年 ISBN 978-4804703268
- ^ 『BOOK PAGE 本の年鑑 2006 I』 日外アソシエーツ 2006年 ISBN 978-4816919732
- ^ 2024年アニメ化決定『歴史に残る悪女になるぞ』。乙女ゲームの悪役に転生した主人公に、なぜか共感できる理由 - ダ・ヴィンチWeb KADOKAWA 2024年3月16日
関連項目
- サークルクラッシャー
- 旦那デスノート
- 不良行為少年(不良少女)
- 桔香ちゃんは悪役令嬢になりたい!
- ばっどがーる
毒婦と同じ種類の言葉
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