死後、神になった男
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/17 03:16 UTC 版)
テオゲネスはその超人的な事績により、死後神々に列せられた。パウサニアスは『ギリシア案内記』において、テオゲネスが神になるまでのエピソードを次のように語っている。 テオゲネスが亡くなると、彼のライバルであったひとりの男が毎夜やってきて、テオゲネス像を毎晩鞭で打つようになった。こうすることによって、テオゲネスによって敗北していた日々の鬱憤を晴らそうとしたのである。しかし、鞭を打っている最中に像が突然倒れてしまい、像の下敷きになって彼は死んでしまった。テオゲネスの子供たちは像を法廷に持ち込み、例え無機物であっても人殺しは人殺しであるとして、テオゲネス像に追放刑を処し、これを海に沈めた。その後、タソス島では凶作が続き、穀物が取れなくなってしまった。デルフィへと使者を送って神意を伺うと、「追放されている者全てを帰還させるべし」との神託がくだった。神託の言う通りに追放者全てを故国タソス島へと戻したが、それでも凶作は収まらなかった。そこで、タソス島の人々は再びデルフィへと伺いを立てた。それに対する託宣は「お前たちは偉大なテオゲネスを忘れている」であった。しかし、海中のどこにテオゲネス像があるのか見当が付かず、途方に暮れてしまった。そんな折に海へ漁に出ていた漁師が網に引っかかったテオゲネス像を持ち帰ってきた。タソスの人々はこの像を元通りに安置し、神として崇め、生け贄を捧げるようになった。そして、凶作は遂に収まった。 タソス島で神になった後、テオゲネスは病気を治療し、マラリアから守護してくれる英雄神として崇拝されるようになる。この信仰はタソス島だけではなく、全ギリシアへと波及した。
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