歴史法学による自然法論批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 15:51 UTC 版)
「自然法論」の記事における「歴史法学による自然法論批判」の解説
ドイツの法学者カール・フォン・サヴィニーが率いた歴史法学派は、18世紀における自然法論と19世紀後半における法実証主義との中間期に属する。歴史法学派の特徴は、特殊な実定法主義であり、それは民衆法(民族法)中心の法実証主義である。法は、一方では全民族生活の中に息づき、他方では法曹階級の手によって特殊化学問化され、前者は民衆法ないし自然法、後者は学問法、学説法ないし法曹法と呼ばれる。つまり、法とは歴史の進化過程における産物であり、いわゆる慣習法の形で成立する。この点で、歴史法学派は、それ以前の自然法論における自然法の普遍的妥当性という観念を放棄している。 サヴィニーはグロチウスの自然法論を自然法と歴史的道徳学との未分化状態にあると評価し、その後大学においては自然法のみが扱われるようになったと述べる。そこでは自然法の法学的な分析と哲学的な分析とが別々に行われ、前者は単にローマ法の法的真理を提示し、後者はそれよりも内容的に空虚で貧弱なものである。 法学それ自体は、自然法なしにも、それがある場合と同様によく研修されうる。このことは、全く哲学が研修されなかった時代においても、或いは少なくとも、哲学が現在もはや哲学と考えられないような時代においても、法学は大いに繁栄しえた、ということからしてすでにいいうることである。哲学に惹かれない者は哲学をおけ。哲学の研修は単に半年を必要とするに止まらず、それは全生涯の仕事である。 — サヴィニー『法学方法論』
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