樹状細胞療法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 02:23 UTC 版)
「樹状細胞ワクチン療法」も参照 樹状細胞療法では、樹状細胞を腫瘍抗原に触れさせて抗腫瘍反応を刺激する。樹状細胞はリンパ球に抗原を提示して活性化し、抗原を持つ細胞への殺効果を発揮させる。がん治療の場合は、がん抗原の認識を補助する。腫瘍が抗原と認識できる分子を発現していなければ有効性は得られないので、効果は限定的である。米国で唯一承認されている細胞免疫療法はSipuleucel-T(英語版)である。日本でも臨床研究が実施されている。 樹状細胞を誘導する方法の一つに、短いペプチド断片に切断した抗原を用いた活性化がある。ペプチド断片のみでは充分な誘導効果が得られないので、アジュバント(高免疫原性物質)を併せて使用する。これは強い免疫反応を惹起し、時に免疫系が強固な抗腫瘍活性を持つ事がある。樹状細胞を誘引し活性化する物質の例として他にGM-CSFがある。樹状細胞はGM-CSFを発現している腫瘍に対して体内(in vivo )で活性化する。これは遺伝子操作で腫瘍細胞がGM-CSFを作る様に加工したり、GM-CSFを産生する特性を持った腫瘍溶解性ウイルスに感染させるなどの手段により達成される。 もう一つの方法は、樹状細胞を体外(ex vivo )に取り出すものである。樹状細胞は腫瘍特異的なペプチド/蛋白質、あるいは未精製の腫瘍細胞融解物で活性化される。活性化された樹状細胞は体内に戻されて、腫瘍に対する免疫系を賦活化させる。体外で獲得した抗腫瘍活性を増幅するために、しばしばアジュバントが全身投与される。より新しい樹状細胞療法では、樹状細胞の表面にある受容体に結合する抗体が用いられる。抗体に抗原物質を加えると樹状細胞を成熟させることができる。この方法で用いられる樹状細胞受容体には、TLR3、TLR7(英語版)、TLR8(英語版)、CD40(英語版)等がある。
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