植物のセルピン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 08:12 UTC 版)
植物のセルピンは哺乳類のキモトリプシン様セリンプロテアーゼをin vitroで阻害できる事があり、大麦セルピンZx (BSZx) がその代表例である。このタンパク質はヒトのトリプシン、キモトリプシン、そして数種の凝固因子を阻害する事ができる。しかしながらキモトリプシン様セリンプロテアーゼに近縁なタンパク質は植物に存在しない。小麦やライ麦のセルピンのRCLは胚乳のプロラミン貯蔵タンパク質で見られるようなポリQの繰り返し配列を含む。そのため植物のセルピンは、貯蔵タンパク質を消化してしまう、昆虫や微生物のプロテアーゼを阻害する働きを持つ可能性が指摘されている。この仮説を支持する知見として、独特な植物セルピンがカボチャ (CmPS-1) とキュウリの師管液から同定された。CmPS-1の発現量増加とアブラムシの生存率の間には負の相関が観察されるが、試験管内で給餌する実験系においては組換えCmPS-1は昆虫の生存に影響しないようである。 植物セルピンの他の役割と標的プロテアーゼも提案されてきた。シロイヌナズナ属のセルピン、AtSerpin1 (At1g47710; 3LE2) はパパイン様システインプロテアーゼである'Responsive to Desiccation-21' (RD21) を標的とすることでプログラム細胞死における設定値の調節を行っている。AtSerpin1はまたin vitroでメタカスパーゼ様プロテアーゼに対しても阻害効果を持つ。他にもAtSRP2 (At2g14540) とAtSRP3 (At1g64030) がDNA損傷への応答に関わるようである。
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