植物のトレハラーゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 21:53 UTC 版)
トレハラーゼは植物に広く存在する。しかし、その基質であるトレハロースは植物に広く存在するとは言えない。植物界でトレハロースは、テマリカタヒバ(Selaginella lepidophylla)やヒメハナワラビ(Botrychium lunaria)などのシダ植物のいくつかの種に見られる。さらに、維管束植物ではトレハロースを持つ種は珍しく、セリ科のいくつかの種の熟した果実や、乾燥耐性被子植物であるミロタムヌス(Myrothamnus flabellifolius)の葉で報告されているのみである。 植物は基本的に光合成ができるため、グルコースやトレハロースを外部から摂取する必要性は無い。体内にもトレハロースを持たない植物、すなわち、トレハラーゼの基質が存在しない植物ですらトレハラーゼを持っている理由は謎であり、そのような植物中におけるトレハラーゼの活性に明確な役割は見い出せていない。しかし、トレハロースは植物の代謝を調節する機能を持つ前駆体のトレハロース-6-リン酸の合成を阻害する効果を示すため、植物は何らかの理由で体内にトレハロースが入ってしまった場合には、そのトレハロースを除去する必要がある。これらのことから、植物に発現しているトレハラーゼは、植物に関っている微生物が生産するトレハロースを分解する役割を持つと考えられている。
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