植物と微生物叢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 13:33 UTC 版)
様々な栄養素を提供する植物は微生物にとって魅力的な宿主である。植物に寄生する微生物はエピファイト(植物の表面に存在する微生物)またはエンドファイト(植物の組織内に存在する微生物)として存在している。卵菌と真菌は収斂進化の果てに類似した形態を持つようになり、生態学的ニッチを共有するようになった。これらの生物は菌糸を持っており、その脚を宿主の細胞へと浸透させる。共生的関係において植物は菌根菌とも呼ばれる共生真菌と物質交換を行っており、植物は光合成により産生した糖の代わりに、土壌中から吸収された無機リン酸を得ている。この共生関係は古代から続いていると考えられており、これが植物の地上進出を助けたと推測されている。最古の菌根菌は3億5000万年から4億6000万年前には存在しており、陸生植物と同時期に進化した。現在の植物も24万8000種のうち90%が菌根菌との共生関係にあり、植物から独立した菌根菌は発見されていない。植物成長促進根圏細菌(plant growth-promoting rhizobacteria:PGPR)は植物の成長を促進する働きを持つ根圏微生物で、窒素固定、リンなどの無機物の可溶化、植物ホルモンの合成、無機物の取り込み、病原体からの防御といった植物に必須な機能を提供する。PGPRは生態学的ニッチや基質の獲得を病原体と競合したり、アレロケミカルを産生したり、全身的な抵抗性誘導 (induced systemic resistance: ISR) を引き起こすことで、植物を病原体から守る。
※この「植物と微生物叢」の解説は、「微生物叢」の解説の一部です。
「植物と微生物叢」を含む「微生物叢」の記事については、「微生物叢」の概要を参照ください。
- 植物と微生物叢のページへのリンク