松戸宿本陣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 16:12 UTC 版)
「紋三郎稲荷 (落語)」の記事における「松戸宿本陣」の解説
駕籠屋は本陣の主人高橋清左衛門を呼び出して平馬のことを話す。 清左衛門はそれはいい事を聞かせてくれたと駕籠屋に祝儀を渡し、紋付袴姿で平馬の前に現れた。 (いけね。駕籠屋の奴、主人に吹き込んだな) しかし、いまさら嘘とは言いにくいし、ままよとそのまま通すことにする。 主人はおこわや油揚げを用意させるというので、 「わしぐらいになるとおこわも油揚げも食べ飽きたのでな、こちらの名物、鯰鍋と酒を所望したい。それから鯉こくと香の物で茶漬けが食べたい」 随分贅沢な狐がいるものだが、そこはお使い姫の言うこと、言うとおりに用意させる。 平馬が鯰鍋に舌鼓を打っていると、隣の部屋が騒がしい。何でも参詣に近郷近在の者が押しかけているという。 この部屋へ来なければいいと参詣を許可し、仕切っている障子を薄く開けさせると、そこからおひねりが飛び込んでくる。ちょうどいい小遣い稼ぎと平馬はおひねりを拾っては袂へと放り込む。 やがて夜も更けると、平馬は明日は早発ちするが発つところは見られたくないので誰も見送ることのないように、もし我が姿を覗き見するならばたちどころに目がつぶれると(家中の者に)申し伝えよと主人に厳命して床につく。 (おやおや、えらいことになっちゃったよ。これは大騒ぎにならないうちに逃げ出しちゃったほうがいいな) 平馬、その夜はまんじりともせず、翌朝、一番鳥が鳴くか鳴かないかのうちに起き出して身支度を整え、雨戸を開けて裏庭へ。 すると、小さな御稲荷様の祠が祭ってあるので、これに片手拝みをすると、裏口の切戸を開け、辺りの様子を伺って一目散に江戸へ向かって走り出した。 すると、祠の下から2匹の狐が出てきて平馬の後姿を見送りながら、 「へぇ~。人間は化かすのがうめえや」
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