紋三郎稲荷 (落語)
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『紋三郎稲荷』(もんざぶろういなり)は古典落語の演目。『紋三郎』とも[1][2]。
化け狐に間違えられた侍が、からかい半分に狐を装って起きる騒動を描く。
4代目橘家圓蔵から橘家圓玉、さらに2代目三遊亭圓歌へと伝授された[1]。6代目三遊亭圓生は、1968年の全集に収録した演目解説においてこれらの過去の演者の名を出した上で、その時点では自分以外には演じる者のいない「めずらしい噺」と述べている[3]。
あらすじ
※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[1]。
笠間城主・牧野家[注釈 1]家臣の山崎兼義は江戸勤務となったが、風邪にかかって他の家臣衆よりも数日遅れて一人で城を出発した。病み上がりの兼義は、防寒のため狐皮の服を上から着込んでいった。途中、駕籠屋に松戸宿まで800文で運ぶと誘われ、酒手(酒代)込みで1貫文出すと応じる。駕籠に乗った兼義がうたた寝をして気がつくと、外で「客は紋三郎稲荷の眷属じゃないか」と話すのを耳にして悪戯心が芽生え、化け狐を装うことにした。松戸宿の本陣では主人が紋三郎稲荷を深く信心しており、兼義を狐と疑わず大変なもてなしをする。話を聞いた近隣の者までが兼義を拝みに来たのを見てさすがの兼義も嘘がばれたときのことを恐れ、夜の間にこっそり宿屋を抜け出そうとする。そこに庭にある稲荷の祠から本物の狐夫婦が出てきて曰く「化かすのは人間には敵わねえ」。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 東大落語会 1973, p. 433.
- ^ 「紋三郎稲荷」『デジタル大辞泉プラス』出版社名 。コトバンクより2019年3月8日閲覧。
- ^ 円生全集, p. 375, 作品解説篇.
- ^ 円生全集 1968, p. 47.
参考文献
関連項目
「紋三郎稲荷 (落語)」の例文・使い方・用例・文例
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