杜撰な詳細点検
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 02:31 UTC 版)
「笹子トンネル天井板落下事故」の記事における「杜撰な詳細点検」の解説
笹子トンネルは1年に一度の定期点検、5年に一度の詳細点検を実施しており、事故の直前は2012年9月に詳細点検を実施していたが、このときは異常は特に見当たらなかったという。しかし事故後の2012年12月13日の検査では、笹子トンネルの下り線に、天井と鋼板をつなぐつり金具のアンカーボルトの脱落や、つり金具と鋼板をつなぐボルトの脱落など、670以上の不具合 が確認され、これは他のトンネルに比べ飛び抜けて多い数字だった。復旧に向けた上り線トンネルの緊急点検の結果でも、崩落現場付近約110メートルを除く範囲で、アンカーボルト1万1,613か所のうち、ボルトの緩みや欠落などの不具合が1,211か所 で確認された。 笹子トンネルの詳細検査において、天井板を固定する金属ボルトの異常を検知する打音検査については「目視で異常を確認した場合」にのみ実施する運用としていたこと、打音検査は2000年以降実施していないなどの実態が警察の調べで明らかになっている。NEXCO中日本の点検マニュアルは、日本道路公団を前身とする高速道路3社により共同作成されたものだが、その中では「詳細点検」について「個々の構造物の状況を細部にわたって近接目視・打音等により行う」と定義されていた。しかし同社は、「定義は大まかな定め」であり、目視のみの検査が「マニュアルを逸脱していたとは考えていない」という。一方、NEXCO中日本と同じ要綱を使っているNEXCO東日本では「目視をしつつ打音するのが普通だ」としている。実際にNEXCO東日本・NEXCO西日本・首都高速道路・阪神高速道路が管理する同様構造のトンネル25か所では、そのすべてで打音検査が実施されていた。
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