有限会社制度廃止への経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 10:17 UTC 版)
「有限会社」の記事における「有限会社制度廃止への経緯」の解説
有限会社は日本の企業風土に適合するといわれながらも、あまり活用されなかった。「有限」という名称のイメージが悪かったとも、「株式会社」という名前のブランド力に勝てなかったからともいわれる。事実、公共の建物における何らかの工事を一社で請け負う場合、信用力の面から有限会社を敬遠する動きもあった。そのため無理に株式会社の形態を採用した企業があふれた。そうした小規模な株式会社では、本来ならば自由に譲渡できるはずの株式についてその譲渡を制限する定款規定を設けることが恒常化した。法律上も、法に定められた株主総会その他の規定を無視する小規模会社をある程度法的に容認するため、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)において小会社を認めた。こうして小規模な株式会社と有限会社の差異は設立時の最低資本金の額程度となってしまったため、結果として有限会社は独自の意義を失うに至った。 このような背景を踏まえ、会社法制定において有限会社制度は廃止されることとなった(2005年(平成17年)7月26日公布、2006年(平成18年)5月1日施行)。 改正法施行後は、現存の有限会社は会社体制に変更を加えなくても株式会社に移行するが、そのような場合は特例有限会社として商号中に有限会社の文字を残さなければならず、株式会社の文字は使用できないなど各種の特例措置が施されている(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条、3条等)。
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