有界自己共役作用素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 06:05 UTC 版)
「スペクトル定理」の記事における「有界自己共役作用素」の解説
次に考える一般化は、ヒルベルト空間上の有界な自己共役作用素に対するスペクトル定理である。そのような作用素は固有値を持たないこともある。その例として、L2[0, 1] 上の t の乗算に関する作用素 [ A φ ] ( t ) = t φ ( t ) . {\displaystyle [A\varphi ](t)=t\varphi (t).\;} が挙げられる。 定理: A をあるヒルベルト空間 H 上の有界な自己共役作用素とする。このとき、ある測度空間 (X, Σ, μ) と X 上のある本質的に有界な実数値可測函数 f およびあるユニタリ作用素 U:H → L2μ(X) が存在して、次が成立する。 U ∗ T U = A {\displaystyle U^{*}TU=A\;} ここで T は乗算作用素 [ T φ ] ( x ) = f ( x ) φ ( x ) {\displaystyle [T\varphi ](x)=f(x)\varphi (x)\;} であり、 ‖ T ‖ = ‖ f ‖ ∞ {\displaystyle \|T\|=\|f\|_{\infty }} である。 これが作用素論と呼ばれる函数解析学における広大な研究分野の始まりである。記事常微分方程式におけるスペクトル理論(英語版)も参照されたい。 ヒルベルト空間上の有界な正規作用素に対する同様のスペクトル定理も存在する。結論として異なる部分は、今回の場合 f {\displaystyle f} は複素数値でもよいということである。 スペクトル定理の代替的な設定として、作用素 A {\displaystyle A} がその作用素のスペクトルについての射影値測度(英語版)に関する座標関数の積分として与えられる、次の様な場合が考えられる。 A = ∫ σ ( A ) λ d E λ {\displaystyle A=\int _{\sigma (A)}\lambda \,dE_{\lambda }} 考えられている正規作用素がコンパクトであるなら、このようなスペクトル定理は上述の有限次元のスペクトル定理に帰着される。そうでない場合、その作用素は無限に多くの射影の線型結合として表現され得る。
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