有機レーザーとは? わかりやすく解説

有機レーザー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/16 14:56 UTC 版)

有機レーザーとは有機化合物をレーザー媒質とするレーザー

概要

有機レーザーは有機色素レーザー有機半導体レーザーに大別される。有機色素レーザーはレーザー媒質であるレーザー色素を外部の光源で励起してレーザー発振する。もう一方の有機半導体レーザーはレーザーダイオードと同様の原理で通電するとレーザー発振する。

有機色素レーザー

有機色素レーザーはレーザー媒質として蛍光色素の一種であるクマリン、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン (DCM)、ピロメテン英語版等のレーザー色素を使用する。アクリル樹脂にレーザー色素を分散させた固体色素レーザーもあり、外部の短波長光(一般的には紫外光)を利用してレーザー媒質を励起してレーザー発振する。

コレステリック液晶にレーザー色素を添加し励起させると、発光の閉じこめが起こり、スペクトルの狭線化が起こるので[1]、有機色素レーザーの一形式としてフォトニック液晶を使用する液晶レーザーでは、らせん状に分子が配列するコレステリック液晶のらせんが光学波長程度の周期を持つとき、液晶自体の持つ誘電的な異方性により、誘電体多層膜構造と同様に1次元フォトニック効果を示すので微小共振器として使用される[1]

有機半導体レーザー

有機半導体レーザーは2000年7月にベル研究所ヘンドリック・シェーンによって発振に成功したと伝えられたが、これは後に捏造であると判明した[2][3]。その後も他の研究機関や大学で研究は継続され、徐々に成果が出つつある[4][5][6][7]

有機半導体は製造条件が比較的低温の条件なので製造条件が限られるが、無機半導体と比較して高い分子設計自由度を特徴とする多種多様な分子構造の化合物を利用できるので従来のレーザーダイオードでは発振の困難だった波長の発振も可能になると期待される。

脚注

  1. ^ a b 液晶フォトニックデバイス”. 2017年1月31日閲覧。
  2. ^ J. H. Schön; Ch. Kloc; A. Dodabalapur; B. Batlogg (2000). “An Organic Solid State Injection Laser”. Science 289 (5479): 599–601. Bibcode2000Sci...289..599S. doi:10.1126/science.289.5479.599. PMID 10915617. 
  3. ^ これに関してはその真偽に関する調査がおこなわれた
  4. ^ 市川結, 谷口彬雄、「有機半導体レーザー」 『高分子』 2003年 52巻 10号 p.750-753, doi:10.1295/kobunshi.52.750, 高分子学会
  5. ^ 市川結, 谷口彬雄、「有機半導体レーザー実現に向けた研究開発の現状と課題」 『レーザー研究』 2004年 32巻 9号 p.570-575, doi:10.2184/lsj.32.570, レーザー学会
  6. ^ 谷口彬雄、「有機 LED・有機半導体レーザー」 『応用物理』 2001年 70巻 11号 p.1294-1298, doi:10.11470/oubutsu1932.70.1294, 応用物理学会
  7. ^ 安達千波矢、「大きな発展期を迎えた有機光エレクトロニクス」 『学術の動向』 2011年 16巻 5号 p.5_74-5_79, doi:10.5363/tits.16.5_74, 日本学術協力財団

文献

関連項目

外部リンク


有機レーザー

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有機フォトニクス」の記事における「有機レーザー」の解説

詳細は「有機レーザー」を参照 液体レーザー媒体用い色素レーザー固体色素レーザー大別されるどちらも励起用の短波長(一般的には紫外光)の光源蛍光色素励起して誘導放出によってレーザー発振する。他にもフォトニック液晶用いたレーザー開発進められるフォトニック液晶用いたレーザー耐久性において固体色素レーザー比較して遜色のない値が得られる 非線形光学素子として多様な分野への応用期待される2016年筑波大学グループによって自己組織化の手法により、元来相溶しづらいとされる共役ポリマー同士均質に混合したマイクロ球体作製成功してマイクロ球体光共振器内での高効率エネルギー移動球体間での光伝搬および波長変換実現したことにより、共役ポリマー光共振器による新しフォトニクス光エレクトロニクスへの応用展開が期待される

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