有機リン化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/27 13:21 UTC 版)
「トリフェニルホスフィン」の記事における「有機リン化学」の解説
他の有機リン化合物の前駆体として一般的に用いられる。テトラヒドロフラン中でリチウムと、あるいは液体アンモニア中でナトリウムやカリウムと反応し、アルカリ金属ジフェニルホスフィド Ph 2 PM {\displaystyle {{\ce {Ph2PM}}}} (M は Li, Na, K を表す)を与える。これらの反応では1等量のフェニルリチウムなどが副生してしまうが、注意深く酸で処理することによりベンゼンに変換することができる。調製したアルカリ金属ジフェニルホスフィドとハロゲン化アルキル RX を反応させれば RPh 2 P {\displaystyle {{\ce {RPh2P}}}} が得られる。メチルジフェニルホスフィン MePh 2 P {\displaystyle {{\ce {MePh2P}}}} などのホスフィン配位子はこのようにして合成できる。ジハロゲン化アルキルに対して同様の反応を行うと、ビス(ジフェニルホスフィノ)アルカンを与える。例えば1,2-ジブロモエタンと Ph 2 PM {\displaystyle {{\ce {Ph2PM}}}} の反応では 1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン ( DPPE ) Ph 2 PCH 2 CH 2 PPh 2 {\displaystyle {\ce {(DPPE) Ph2PCH2CH2PPh2}}} が得られる。 Ph 2 PM {\displaystyle {{\ce {Ph2PM}}}} に塩化アンモニウムなどの弱めの酸を加えるとジフェニルホスフィン Ph 2 PH {\displaystyle {{\ce {Ph2PH}}}} が得られる。 トリフェニルホスフィンのスルホン化はトリス(3-スルホフェニル)ホスフィン ( 3 − O − SO 2 C 6 H 4 ) 3 P {\displaystyle {\ce {(3-O^-SO2C6H4)3P}}} を与える。このアニオン性のホスフィンは普通3ナトリウム塩として単離され、TPPTS (triphenylphosphine trisulfonate) として知られる。親水性の置換基を持つため、TPPTSはトリフェニルホスフィンに比べ水溶性が高い。TPPTSのロジウム錯体は工業的なヒドロホルミル化に用いられるが、これは水溶性の触媒は容易に有機溶媒から分離できるためである。
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