有機分子およびその他の分子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/30 10:21 UTC 版)
「分子電子遷移」の記事における「有機分子およびその他の分子」の解説
有機化合物およびその他の一部の化合物における電子遷移は紫外・可視分光法によって決定することができる。この分光法からは、化合物に存在する電磁スペクトルの紫外(UV)あるいは可視領域における遷移が得られる。σ結合のHOMOを占有する電子はσ結合のLUMOに励起することができる。この過程はσ → σ*遷移と表わされる。同様に、π結合性軌道から反結合性π*軌道への電子の遷移はπ → π*遷移と表わされる。nで示される自由電子対を持つ助色団は、芳香族性π結合遷移と同じように独自の遷移を持つ。こういった検出可能な電子遷移を経ることができる分子の部分は、こういった遷移が電磁放射(光)を吸収し、これが電磁スペクトルのどこかで色として知覚されうるため、発色団と呼ばれうる。以下の分子電子遷移が存在する。 σ → σ* π → π* n → σ* n → π* 芳香族性π → 芳香族性π* これらの割り当てに加えて、電子遷移はそれらに関連したいわゆるバンドも有する。以下のバンドが定義されている: Rバンド(ドイツ語のradikalartig〔ラジカル様〕から)、Kバンド(ドイツ語のKonjugierte〔共役した〕から)、Bバンド(benzoic〔ベンゼンの〕から)、Eバンド(ethylenic〔エチレンの〕から)。例えば、エタンの吸収スペクトルは135 nmにσ → σ*遷移を示し、水の吸収スペクトルは167 nmに吸光係数7,000のn → σ*を示す。ベンゼンは3つの芳香族π → π*遷移を持つ。これらはそれぞれ吸光係数60,000、8,000、215を持つ180および200 nmの2つのEバンドと255 nmの1つのBバンドである。これらの吸収は、電子遷移が分子のその他のエネルギー準位(振動準位、回転準位)と重ね合わされているため、狭いバンドではなく一般的に広がったピークである。
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