有効成分による分類と作用機序
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 07:59 UTC 版)
「殺虫剤」の記事における「有効成分による分類と作用機序」の解説
有機塩素剤(DDT、BHC等、1970年代までに日本ではほとんど禁止) DDTは、神経軸索のNa+チャンネルに作用し、神経系の情報伝達を阻害する。毒性が強く、生物濃縮が起こる。 有機リン剤(パラチオン、ジクロルボス、マラチオン、フェニトロチオン、アセフェート等) 有機リン剤は神経系の伝達物質アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)と結合して、その働きを不可逆的に阻害する。このためアセチルコリンが異常に集積したままになり、情報伝達が阻害され死滅する(通常、アセチルコリンは情報伝達を行なった後、AChEにより分解される)。 カーバメート剤(カルバリル、プロポクサー、フェノブカーブ等) 有機リン剤と同様。但し、アセチルコリンエステラーゼ阻害は可逆的である。残効性は高い。 昆虫成長制御剤(通称IGR剤、メトプレン・ピリプロキシフェン・ジフルベンズロン・ビストリフルロン) 昆虫の変態を利用して、脱皮ホルモンと幼若ホルモンを過剰に投与することによって、成虫にさせず死滅に追い込む。即効性は無い。 ピレスロイド剤(ピレトリン、ペルメトリン、イミプロスリン、エトフェンプロックス等) ピレスロイド剤は、神経軸索のNa+チャンネルに作用し、神経系の情報伝達を阻害する。隙間に入り込んだ害虫を開放空間に飛び出させる「追い出し効果」がある。即効性に優れるが残効性は無い。 ニコチン剤(硫酸ニコチン) 硫酸ニコチンの記事を参照。呼吸・接触・摂食により、虫体に取り込まれニコチン性アセチルコリン受容体に作用して、神経の異常な興奮を引き起こしたままになり、殺虫効果をあらわす。 ネオニコチノイド剤(クロロニコチニル剤)(イミダクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン等) ネオニコチノイドは、神経系の伝達物質アセチルコリンの受容体に代わりに結合し、アセチルコリンによる情報伝達を阻害する。植物への浸透移行性が高く、食べた害虫が死滅する。残効性が高い。
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