時系列方向の予測可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:16 UTC 版)
「金融経済学」の記事における「時系列方向の予測可能性」の解説
価格の予測可能性についての研究は1900年のルイ・バシュリエの研究成果にさかのぼることが出来る。バシュリエの研究はブノワ・マンデルブロやポール・サミュエルソンにより現代的な形式に定式化された。短期的な価格の予測可能性についてユージン・ファーマは1960年代に行った一連の研究により、株式には短期的に若干の正の自己相関が見られることを発見した。しかし、その程度は非常に弱く、取引コストを考えればその相関を利用して計画的に利益を上げることは不可能だとし、金融市場は短期的には効率的な状況に近いということが学界でのコンセンサスになっている。 しかし年単位となるような長期的な価格の予測可能性については短期と異なり取引コストを加味しても利益を上げられるような予測が可能であるという研究成果がある。ロバート・シラーは1984年に配当利回りが1年後の株式のリターンに説明力を持つことを発見した。この研究は行動ファイナンスの先駆けとして重要視されている研究の一つである。またロバート・シラーはJohn Campbell(英語版)との共同研究で企業の実質利益が価格に説明力を持つことや配当利回りが将来の配当成長率に正の影響を持つことを実証した。特にロバート・シラーは前者の研究結果からPERを改良したCAPEレシオ(英: cyclically adjusted price-to-earnings ratio, CAPE ratio)を考案している。
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