旧植民地国家の公用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 01:42 UTC 版)
アジア・アフリカなどの旧植民地国家では、実際の母語話者は極めて少数であるにもかかわらず、旧宗主国の言語(英語、フランス語およびポルトガル語)が現在も公用語とされている事が多い。これは主に以下のような理由による。 その地域に多数の言語が存在し、意思疎通が困難である 文字言語がなく、文書で記述することができない 政治・経済・教育など近代的諸制度を運営していく上で、それら制度の用語が充実した旧宗主国の言語を使用せざるをえない 独立運動や国家運営を指導するインテリ層が、旧宗主国の言語で高等教育を受けている 旧宗主国に加え、旧宗主国の言語を使う諸外国とのつながりが今でも強く、イギリス連邦やフランコフォニー国際機関、またポルトガル語諸国共同体などを通じた国際連携の観点から旧宗主国の言語が必須 このような国では、旧宗主国の言語を公用語として使用する場合と、最も使用する者の数が多い部族の言語を公用語としている場合がある。被植民側の言語には文字がない事も多く、アルファベットの発音をあててアルファベット表記することが多い。 ケニアではスワヒリ語と英語、フィリピンではタガログ語を基本とするフィリピン語と英語が公用語になっており、これらはそれぞれ義務教育によって全国で教育されている。また、これらの国には非常に多くの地方言語が存在することから、地方の言語、多数部族言語の公用語、旧宗主国言語の公用語と合わせると、多くの少数民族は3つの言語を使用することになる。ただし公用語化されない地方の言語には文字がないことが多く、公用語の普及と共にそのほとんどが消滅していく傾向にある。 詳細は「危機に瀕する言語」を参照
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