日本の高山植生の特徴の一つであるハイマツ帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:48 UTC 版)
「日本の高山植物相」の記事における「日本の高山植生の特徴の一つであるハイマツ帯」の解説
ハイマツはその名前が示すように、直立することなく地面を這うように生育するマツ科の低木である。ハイマツはバイカル湖西岸付近から東部北緯70度付近までの東シベリアに分布の中心があり、日本の赤石山脈を分布の南限とし、中国東北地方、朝鮮半島北部にも見られる。ハイマツと似た分布を示す植物にはキバナシャクナゲやグイマツがあり、ハイマツはその分布の中心である東シベリアでは、主に低地に分布するグイマツ林の林間植生として分布している。 本州中部の高山帯以北の日本の高山では、亜高山針葉樹林帯の上部にハイマツ群落が優占するハイマツ帯が広く分布しており、ハイマツ帯の存在は日本の高山植生の特徴の一つとされている。これはハイマツ分布の中心である東シベリアでは、主として低地グイマツ林の林間植生となっている点と大きく異なっている。 日本の高山でのハイマツ帯の分布を調べてみると、冬季の積雪の深さと深い関連性が見られる。例えば大雪山での調査ではハイマツ帯は冬季の積雪が平均30センチ以上から300センチの場所に分布することが明らかとなった。これは低木で地を這って生育するハイマツは、冬季には雪をハイマツ群落全体でしっかりと捉え、雪に埋もれることによって、世界一過酷な環境とされる冬季の日本の高山に吹き付ける強風と、低温から植物体を守っているためと考えられている。また冬季の積雪が多い場所は、雪解けが遅くなるためにやはりハイマツの生育に不適であると見られている。
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