日本における在来種と外来種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 09:26 UTC 版)
「タンポポ」の記事における「日本における在来種と外来種」の解説
日本でよく知られるタンポポには、古来から自生していた在来種(日本タンポポ)と、明治以降に外国から持ち込まれた外来種がある(現在は帰化種といわれている)。在来種は外来種に比べ、開花時期が春の短い期間に限られ、種の数も少ない。また、在来種が種子をつくるためには、他の株から花粉を運んでもらって実を結び子孫を増やす必要から、同じ仲間と群生している。一方で外来種は、一年中いつでも花を咲かせ、かつ一個体のみで種子をつくることができるため、在来種に比べて小さな種子をたくさん生産する。夏場でも見られるタンポポは概ね外来種のセイヨウタンポポである。 見分け方としては、花の基部を包んでいる緑の部分である総苞片を見てみると、反り返っているものが外来種(図1)で、反り返っていないものが在来種(図2)である。在来種は総苞の大きさや形で区別できる。しかし交雑(後述)の結果、単純に外見から判断できない個体が存在することが確認されている。 日本における分布は、人間が土地開発を行った地域に外来種が広がり、在来種は年々郊外に追いやられて減少しつつある。より個体数が多く目に付きやすいことから、「セイヨウタンポポが日本古来のタンポポを駆逐してしまった」という印象を持たれるが、実際には誤りであることは、在来種の生き方から理解されている。 セイヨウタンポポは在来種よりも生育可能場所が多く、かつ他の個体と花粉を交雑しなくても種子をつくることができる能力を持っているため繁殖力は高いが、相対的に種子が小さくて芽生えのサイズも小さくなるため、他の植物との競争に不利という弱点を持っている。そのため、他の植物が生えないような都市化した環境では生育できるものの、豊かな自然環境が残るところでは生存が難しくなる。 在来種はセイヨウタンポポよりも種子をつける数が少なくなっても、大きめの種子をつくる戦略を選んでいる。また、風に乗って飛ばされた種子は、地上に落下しても秋になるまで発芽しない性質を持っている。在来種が春しか花を咲かせない理由は、夏草が生い茂る前に花を咲かせて種子を飛ばしてしまい、夏場は自らの葉を枯らして根だけを残した休眠状態(夏眠)になって、秋に再び葉を広げて冬越しするという、日本の自然環境に合わせた生存戦略を持っているからである。 外来種と在来種の見分け方 図1 外来種の総苞片は、反り返る。 図2 在来種の総苞片は、反り返らない。
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