新しいSI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 14:43 UTC 版)
詳細は「SI基本単位の再定義 (2019年)」を参照 メートルの定義が国際メートル原器から光の特定の波長に変更された1960年以降、キログラムは特定の人工物に依存する唯一の単位となった。国際キログラム原器の質量が年間で20×10−9 kg程度変動していることが判明した。第21回GCPM(1999年)で、キログラムと特定の人工物の関連を断つ方法を調査するよう、各国の研究所に要請された。確認されたキログラム原器の変動と別に、アボガドロ定数の精度の向上させる「アボガドロプロジェクト」とワット天秤の発達により、非常に高い精度で間接的に質量を測定する方法の見込みが立った。これらのプロジェクトは、キログラムを再定義する代替手段を可能にするツールを提供した。 2007年の測温諮問委員会の報告書によって、現行の温度の定義では20K以下と1300K以上で十分な計測ができないという報告がなされた。測温諮問委員会では、現行の水の三重点による定義よりも、ボルツマン定数を基準にした方がより良い温度の計量ができ、低温や高温での計測困難を克服できると考えた。 第23回総会(2007年)で、CPIMに対し、すべての単位を物理定数に基づく定義にするための調査が命じられた。翌年、国際純粋・応用物理学連合(IUPAC)により承認された。 CIPM は第24回総会(2011年)において、検討事項の決議について提示し、新定義の詳細が決定する前であったが、新しい定義についておおむね合意した。そして、第24回総会は次回の第25回総会を2015年から2014年に前倒して開催することを決定した。 しかし、第25回国際度量衡総会(CGPM)(2014年11月18日 - 20日)においては、「提示されたデータは、新しいSIの定義を採択するには、十分頑強ではない」として、2018年に行われる次の第26回CGPMまで改訂を延期することとされた。また再定義のために必要となる基礎定数の新データは2017年7月1日までに論文として受け入れられたものでなければならないこととされた。 結局、SIの新しい定義は、2018年11月16日の第26回CGPMで決議・承認され、2019年の5月20日(世界計量記念日)に発効した。
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