新しい相、相図、構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 23:28 UTC 版)
合成方法と生成物の特徴は、単一ではなく一連の反応混合物が熱処理を経て調合されているという意味で関係している。一般に化学量論は、どの量が新しい固体化合物や知られている固溶体につながるのかを見つける体系的方法によって変化する。反応生成物を特徴付けする主な方法は粉末回折である。なぜならば、多くの固相反応は多結晶インゴットや粉末を生成するからである。粉末回折は混合物中の既知相の特定を容易にする。回折データライブラリにない回折パターンの場合、単位格子の大きさや対称性を特定する等によりパターンをデータライブラリに登録することができる(生成物が結晶でない場合、特徴付けは概して非常に困難になる)。 新しい相の単位格子が判明した次の段階は、相の化学量論を決定することである。これには多くの方法がある。元の混合物の組成が手がかりを与えてくれることが時々あるが、それは稀である。例えば、生成物が単一物質である、すなわち一つの粉末回折パターンしか現れない場合や、既知の物質に類比させてある組成の相を作ろうとする場合である。多くの場合、新しい物質の高純度サンプルを得るために合成法を改良する際にかなりの努力を強いられる。生成物を残りの反応混合物から分離することができれば、元素分析が可能である。他の方法としては、走査型電子顕微鏡を用い、電子線を当てて固有X線を検出する方法がある。最も容易な構造決定法は単結晶X線構造解析である。 後者は調合の手順に立ち戻り、改良する必要がある。そしてこれはどの組成・どの化学量論でどの相が安定なのかという問題、すなわちどのような相図になっているのかという問題とつながっている。相図の決定の際に重要になるのが示差走査熱量測定や示差熱分析といった熱分析の技術である。シンクロトロンの到来により生まれた温度依存性粉末回折もますます重要になっている。相関係の知識の増加は、反復的方法による合成方法の更なる改良につながる。このように、新しい相は融点と化学量論の領域で特徴付けされる。化学量論は不定比の組成を持つ多くの固体にとって重要である。X線回折によって得られた格子パラメータは化学量論の均一範囲を特徴付けるのに特に有用である。
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