新しい温度目盛の考案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 07:35 UTC 版)
「カロリック説」の記事における「新しい温度目盛の考案」の解説
熱の本質がカロリックであるならば、温度は「カロリックの量」を基準とした温度目盛で表すことができるという考えが、ドリュクやクロフォードによって生まれた。この理論によれば、温度はカロリックの量に比例し、比熱は温度によらず一定の値で表すことができる。 1801年、ドルトンは、気体の膨張率は、同じ温度であれば気体の種類によらず一定の値をとることを実験により明らかにした。また、ラプラスとゲイ=リュサックも共同で、ドルトンとは独立に同じことを見出した。一方で、液体や固体の場合は、膨張率は物体によって異なる。気体と液体・固体のふるまいが異なる理由について、ドルトンとゲイ=リュサックはどちらも、気体の場合は分子の形や分子間の引力などの影響を受けにくく、その分熱の力が際立って見えるからだろうと推定した。 このことからドルトンは、本来のカロリックの量を測るためには、従来の水銀温度計とは異なる指標が必要だと考えた。ドルトンが支持していたアーヴィン流のカロリック説によれば、温度が上昇し物体が膨張すると、熱容量が大きくなる。すなわち、低温の時に比べて、温度を1度挙げるのに必要な熱の量は多くなる。ドルトンは1827年に出された著書『化学哲学の新体系』において、この点を考慮に入れた新しい温度目盛りを発表した。 ピエール・ルイ・デュロンとアレクシ・テレーズ・プティも、カロリックの量を基準とした温度目盛を作ることができるという立場に立ち、水銀、銅、白金、ガラスといった物質で、0℃から100℃までの比熱と、0℃から300℃までの比熱を測定した。その結果、比熱は温度をあげると増加し、そしてその増加の割合は物質によってまちまちであることが確かめられた。カロリックの量を基準とした温度目盛を作るには比熱が一定になるように目盛をつければよいが、その比熱の上がり方が物質によって異なるため、このような温度目盛を作ることはできないことが明らかになった。
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