文字板の年代特定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 00:16 UTC 版)
年代測定が直接行われた文字板はわずかである。「文字板 Q」(サンクトペテルブルク小文字板)は唯一、放射性炭素年代測定が行われた文字板であるが、判明したのは、1680年以降のいつか、ということだけだった。 年代特定の根拠となるのは、直接的な測定だけではない。「文字板 A」、「P」、そして「V」は、ヨーロッパの船の櫂(オール)に絵文字が刻まれていることから、18世紀から19世紀のものと特定することができる。オルリアックは2005年、「文字板 C」(ママリ文字板)の木材が、約15 mの木の幹から切り出されていることを計算によって突き止めた。そのような大きさの木は、はるか以前にイースター島から姿を消しており、調査によりイースター島の森林は17世紀前半に消滅したことが分かっている。1722年にイースター島を発見したヤーコプ・ロッヘフェーン(Jakob Roggeveen)は、島の様子を「大きな樹木が欠乏している」と語っており、スペインの航海士フェリペ・ゴンザレス・デ・アエド(Felipe González de Ahedo)は1770年、「幅6インチ(約15 cm)ほどの床板に間に合いそうな木すら1本も見当たらない」と書き残している。1774年のジェームズ・クック(James Cook)の探検に同行したフォースター(Forster)は、「島には10フィート(約3 m)を超える高さの木はない」と報告している。 これらの方法はすべて、文字板の木材の年代を特定するもので、テキスト自体の年代を特定しているわけではない。しかし、Pacific rosewoodは耐久性に乏しく、イースター島の気候では永く残存しないと思われる(Orliac 2005)。一方、絶滅種であるイースター島産のヤシの木(Paschalococos disperta)を描いたと思われる絵文字も発見されており、花粉学によればおよそ1650年頃に島から消滅したとされているため、テキストが少なくともその時代まで遡るものであることを示唆している。
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