提供手術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 19:36 UTC 版)
骨髄は腸骨(骨盤の一番大きな平たい左右一対の骨)から採取する。腸骨の背中側のウエストより少し下の部分に、ボールペンの芯の太さ程度の採取針を使って骨髄液を吸引し、全身麻酔下で行われる。採取する骨髄液の量は、レシピエントの体重キログラムあたり15ミリリットルが目標となる。採取上限量はドナーの体重およびヘモグロビン量などによって決まり、上限を超えない範囲で出来るだけレシピエントの希望量に近くなるようにする。ヘモグロビンが十分ある場合、ドナーの体重1キロあたり20ミリリットル程度が上限となる。このためドナーの体重が少なすぎる場合はレシピエントにとって骨髄液の量が不足する。複数のドナー候補の中で、採取量を取るか適合性を取るかはレシピエント側の判断となる。骨髄バンクを介した移植ではドナーの安全が最優先されるため、採取上限量を超えることはない。 骨髄採取による貧血を防ぐため、ドナー自身の血液を事前に採取保存し、採取当日返血する。提供手術は1 - 3時間かかり、4 - 7日程度の入院が必要になる(予後が不良である場合など1週間以上かかるケースもある)。 手術後には気管チューブを抜いた後の喉の痛みや、尿道カテーテルによる尿道の痛みが生じることがある。また骨髄液採取および麻酔の影響による頭痛、吐き気、37 - 38度程度の発熱、血圧低下、不整脈などが報告されているが、いずれも数時間から1日程度で回復する一過性のものである。穿刺(せんし)による傷からの出血は通常1、2日でおさまるが、筋肉や骨の回復には個人差がある。提供ドナーの報告では大きな痛みがなくなるまで1 - 7日間、激しい運動ができるようになるまで2 - 3週間かかる例が多い。
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