排出者責任の限度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:28 UTC 版)
受託処理業者の不適正処理により不法投棄などが起こった場合に、排出者がどこまで責任を負うかが問題となる。実際の事件では、廃棄物の内容を確認することによって排出者を特定することはできても直接の投棄者が特定できなかったり、処理業者に資力がなく撤去費用の負担などを負いきれなかったりすることが多いからである。都道府県の産業廃棄物担当部局は、排出者の管理状態などを精査し、問題があれば「排出者として責任あり」として、撤去費用などの負担を求めるが、中には排出者の管理に問題がなくても「当然の排出者責任」として、排出者に負担を求めてくることもある。 しかし大原則として、特に定めのない限り、過失がない者には民事上の責任は発生しない。(b:民法第709条「過失責任の原則」) 産業廃棄物においては、3条の解釈として、特に定めのある場合(無過失責任)に該当するかが問題となる。小池百合子環境大臣(2005年当時)は、国会(2005年の衆院環境委員会)における答弁では、無過失責任は採用していないという前提に立ち、「(排出者に)予見不可能な負担を負わせ、経済活動を不当に制約するおそれもある」と、今後の導入についても否定的な見解を示している。 即ち、環境省の解釈によれば「過失責任の原則」が適用されるため、排出者に過失がないと認められる場合は、不法投棄などがあった場合でも、排出者が民事上の法的責任を負う根拠は存在しないとされる。あくまで自主的な判断で負担すべきものと考えられる。今後の司法判断にも注目される。
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