抽出の実際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 03:53 UTC 版)
サイフォンによるコーヒーの抽出は、以下のようなステップで行われる。 フラスコ(下側のガラスパーツ)に湯または水を入れ、アルコールランプで加熱する。 漏斗(上側のガラスパーツ)にフィルターを装着し、粉砕したコーヒーを入れておく。 湯が沸騰しはじめたら一旦火を外し、漏斗を差し込む。 再び加熱すると、沸騰に伴う蒸気圧によってフラスコ内が正圧になり、大気圧を越えた時点で湯が上に移動し、コーヒーの粉と混ざって抽出が行われる(右模式図の状態)。 一定時間後火を外すと、フラスコ内部の気体が冷却され陰圧になり、漏斗に上った湯がフラスコへ吸引される。その際、コーヒーの粉はフィルターで除かれる。 フラスコ内に回収された抽出液を、コーヒーとして飲用する。 出来上がるコーヒーの味は、コーヒー豆の挽き具合、抽出時間、火力などによって調整される。用いるコーヒーの粒子が細かいほど、また漏斗に留まる時間を長く取るほど、成分が抽出されやすく味が濃くなる。火力は湯の温度に影響を与えるだけでなく、湯が上に移動する速度に影響して抽出時間などにも作用する。なおアルコールランプの場合、火力の調整は出す芯の長さと炎をフラスコへ当てる位置によって行うことが多い。 湯が漏斗内に上った時、コーヒーの粉は湯に浮かんだ状態になるので、竹べらなどを使って粉をほぐすように撹拌する。このときの撹拌の仕方によっても味が若干変化し、荒っぽく混ぜすぎるのはよくないとされる。通常言われている抽出時間は漏斗に湯が上がってから2〜3分程度で火を外すというものであるが、抽出時間によって味が変わり、味に対する好みは人それぞれであるため実際の抽出時間はさまざまである。 これらの、抽出に影響する要素の定量化が比較的容易なことが、サイフォンで抽出したコーヒーの味が安定し再現性がよい理由の一つだと考えられている。 なおフラスコの外が濡れた状態で炎を当てるとガラスが破損する原因となるため、注意が必要である。
※この「抽出の実際」の解説は、「コーヒーサイフォン」の解説の一部です。
「抽出の実際」を含む「コーヒーサイフォン」の記事については、「コーヒーサイフォン」の概要を参照ください。
- 抽出の実際のページへのリンク