抜剣と納剣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 18:36 UTC 版)
西洋の剣は剣帯で吊ってあり直身なので、日本の刀のような鞘引きはできない。そのために居合いのような技術はない。納剣も日本剣術のようなきれいな物ではなく、長い剣は剣身をもって二段階で鞘に納めた。リカッソはこのような時も役立つ。鞘は革、金属、木などでつくられ時には内側に羊毛を貼った。これは雨の進入を防ぐと共に、脂分が錆を防ぐからである。また、密着感もよい。日本刀に慣れた人が西洋剣を鞘から抜く場合、その長さに驚き西洋人の身長のことを理由に挙げるが、そうではない。剣と刀の装着方法がちがうのだ。日本刀は腰の帯に挟む。したがって柄は腰よりも上であり胸元もと近くにある。一方、西洋剣は腰から吊るすので柄の位置は大腿部にある。西部劇のカウボーイのピストルホルダーの位置だ。右腕を前にのばし、拳を頂点に大腿部(西洋剣の位置)と腰上(刀の位置)の三角形を想定すると二等辺三角形ではなく不等辺三角形となり一番長いのは拳〜大腿部の辺になる。これが抜くときのスライド幅となるので、刀よりも長い剣でも抜けるのだ。 剣は左の腰に吊すので椅子は自分の右から座る。これが現在のテーブルマナーにおける着席の元である。 貴人の前でひざまずいての礼は左足を立てる。右足を立てると斬りつけることが簡単だからだ。両足でひざまずくのは神に祈りをささげるときである(だからヒト相手は片足だけ)。 剣を吊って、立ったまま腰を曲げてお辞儀をすると、鞘先が上がって後ろの人にあたるので、男性のお辞儀は手を左右に広げお尻を後ろに突き出す礼ができた。男性バレリーナなどがする礼である。このときも同様の理由で右足を引く。 馬の左から乗ったり馬を誘導するとき左に立つのは、やはり左の剣がじゃまに成らないためである。(武士が馬の右から乗馬するのは、両手持ちの太刀は腰に水平に佩く。柄が前方に長くつきでるので馬の左からのると、鞍にぶつかる。
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