抗腫瘍免疫応答
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 02:17 UTC 版)
免疫とは細菌などの生体異物(非自己)を排除するための機構であり、正常な状態では自己に対して免疫機構は働かない。自己と非自己の判別は各細胞が主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIと呼ばれる分子を介して提示した抗原断片を識別することによって行われる。細胞障害性T細胞(CTL)は腫瘍免疫の主役を担う細胞であり、ウイルス感染細胞や癌細胞等の除去を担当する。CTLによって非自己とみなされた細胞は細胞死(アポトーシス)へと誘導される。ウイルスや紫外線などにより誘発された腫瘍は抗原性が高く、CTLにより認識されやすい。一方、自然発癌による腫瘍細胞は抗原性が低く、CTLによってはほとんど排除されない。CTLの分化は樹状細胞からの抗原提示によって誘導される。樹状細胞は抗原提示細胞として働くことが知られており、抗原を細胞内に取り込んだ後に分解を行い、その断片を細胞表面に提示する。抗原提示を受けたヘルパーT細胞は活性化してサイトカインを放出し、CTLの分化・増殖を促す。また、腫瘍免疫には適応免疫系だけではなく、NK細胞やNKT細胞、マクロファージ、顆粒球などの自然免疫も関与しており、癌の進展を抑制している。
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