戸倉ダム計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 09:40 UTC 版)
利根川水系のダムの中では比較的規模の小さいダムであり、渇水の際にはダム湖である薗原湖の貯水率は低下しやすかった。このため独立行政法人水資源機構(当時は水資源開発公団)は利水機能強化のために、薗原ダムのさらに上流にある利根郡片品村戸倉地点の片品川に高さ158.0mの重力式コンクリートダム(当初はロックフィルダム)である「戸倉ダム」を建設する計画を発表した。 総貯水容量は92,000,000m3で薗原ダムの4倍の容量を有し、完成すれば利根川水系のダムでは奈良俣ダムと並ぶ堤高となり、全国の重力式コンクリートダムの中でも高さ1位となる予定であった。戸倉ダムは付け替え道路の工事を既に始めていたが、近年の公共事業再評価の波の中で水需要の減少という要因も重なり、上水道が供給される最大受益地である東京都の石原慎太郎知事が事業からの離脱を表明。事業参加の可否を検討していた埼玉県・千葉県の各知事も東京都の動きを受け相次いで事業からの参加撤退を表明した。これにより建設費財源が確保できなくなり、2003年(平成15年)に水資源機構を所管する国土交通省は正式に建設中止を表明した。この後ダム建設現場では建設前の環境に戻す植生工事などを行って、ダム建設は未完のまま終了する。 また、片品川流域では同じく水資源機構によって支流に2基の大規模多目的ダムを計画していた。一つは泙川に建設を計画していた「平川ダム」(ロックフィルダム・堤高146.0m)で、もう一つは栗原川に建設を計画していた「栗原川ダム」(ロックフィルダム・堤高160.0m)である。何れも総貯水容量が40,000,000m3と薗原ダムの倍の貯水が可能で、栗原川ダムは利根川水系では最も堤高が高く、かつロックフィルダムでも全国三番目の堤高となるような大ダムが計画されていた。だが、戸倉ダムと同様に水需要の低迷で下流受益地からの事業参加が見合わされ、平川ダムは2002年(平成14年)に、栗原川ダムは2004年(平成16年)に計画が中止となった。
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