成立に関する伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/28 01:04 UTC 版)
「ブリハットカター」の記事における「成立に関する伝説」の解説
カシミール系伝本の伝える説話によると、シヴァはパールヴァティーに新しい物語を語ったが、プシュパダンタがそれを盗み聞きしたことが露見したため、怒ったパールヴァティーがプシュパダンタを呪い、彼がピシャーチャ(悪鬼)のカーナブーティに会って同じ物語を語るまでは神の地位に戻れないことにした。プシュパダンタの友人のマーリヤヴァントも呪われた。プシュパダンタはヴァラルチ・カーティヤーヤナに生まれかわり、カウシャーンビーのナンダ王の大臣になったが、退職後にヴィンディヤ山中に移り、そこでカーナブーティに七転輪王物語を語って呪いがとけた。一方マーリヤヴァントはサータヴァーハナ王の大臣グナーディヤとして生まれかわるが、王と王妃が水遊びをしているときに王妃が「水をかけないで」と言ったのを、王はお菓子を投げろという意味だと勘違いして笑われた(modakaiḥという語はmodaka「菓子」の複数具格とも、udaka「水」の複数具格の前に否定辞māがついた形とも取れる)。無知を恥じた王はサンスクリットを勉強しようとした。グナーディヤは6年で教えられると言ったが、別な大臣シャルヴァヴァルマンは6か月で教えられると主張した。グナーディヤはそんなことは不可能であるとして賭けをし、負けたらサンスクリットやプラークリットを使用しないと誓ったが、賭けに負けてヴィンディヤ山中を放浪し、そこでカーナブーティから七転輪王物語を伝えられた。サンスクリットやプラークリットが使えなかっため、ピシャーチャの言葉(パイシャーチー)で70万頌からなる七転輪王物語を自らの血で記した。しかし王がこの物語を拒絶したために燃やしてしまった。後に王はグナーディヤと再会したが、七転輪王物語のうち六転輪王の物語はすでに燃やされ、残されたナラヴァーハナダッタ物語10万頌のみを持ち帰った。これが『ブリハットカター』であるという。 土田によると、この起源説話は『ブリハットカター』が書かれた時代よりはるかに後、言語としてのパイシャーチーの実態がもはや知られなくなった時代に、「パイシャーチー」の語が「ピシャーチャの言葉」を意味するところから作られたものである。
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