憲章歌
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憲章歌(けんしょうか)は、日本の地方公共団体(市町村および東京都の特別区)が制定する自治憲章に付随して作成される楽曲の総称である。多くは正規の市町村歌とは別個に作成されるが、自治体によっては憲章歌が市歌を兼ねる扱いとされる場合もある。
歴史
戦後に地方自治法が施行されて以降、広島市が1950年(昭和25年)に定めた「市民道徳」を嚆矢として地方自治体が「市民憲章」や「市民の誓い」のような名称で市民として在るべき基本方針の採択が1950年代から1960年代前半、地方自治法施行30周年に当たる1977年(昭和52年)から1980年代にかけて相次いだ。京都市では1956年(昭和31年)に京都市市民憲章を採択した際に市民憲章の理念普及を目的に条文をそのまま歌詞として旋律を付けた「京都市市民憲章の歌」が作成され[1]、これが全国における憲章歌の草分けとなっている。
札幌市では1964年(昭和39年)に札幌市民憲章の採択1周年を記念して「市民の歌」が制定されているが、その制定主体は市ではなく外郭団体の札幌市民憲章推進会議とされている[2]。憲章歌の全てが条文をそのまま歌詞として旋律を付けたものではなく、札幌市の「市民の歌」や北九州市の「緑のまちにしませんか」のように憲章の理念実現を呼びかける趣旨で条文からは独立した歌詞を定めた楽曲の方が多い。
京都市や北九州市、金沢市などは正規の市歌・市民歌とは別に憲章歌を定めているが、岩手県二戸市や福井県あわら市[3]、愛知県東海市および豊田市、鹿児島県垂水市など条文に曲を付けた形の憲章歌のみが定められ、市歌と同等もしくは準じた扱いを受けている場合もある。
主な憲章歌
- 太字は憲章歌が市町村歌に相当もしくは準じた扱いを受けているもの。★は憲章の条文をそのまま歌詞に転用していることを示す。
北海道
- 新設合併前の(旧)釧路市では、1968年(昭和43年)に「市民憲章の歌」(初代)を作成していた[5]。
東北地方
- 青森県三戸郡田子町 - 田子町民憲章ふるさと賛歌 ~わがふるさと~ (1983年)[7]
- 岩手県二戸市 - 二戸市「市民憲章」のうた(2015年)★[8]
- 宮城県気仙沼市 - 気仙沼市民憲章の歌[9]
- 廃止楽曲
関東地方
- 埼玉県飯能市 - 飯能市民憲章讃歌(1984年)
- 埼玉県北足立郡伊奈町 - 伊奈町町民憲章歌[10]
- 千葉県市川市 - 市川市市民憲章歌(1994年)[11]
- 東京都品川区 - We hope for happiness[12]
- 廃止楽曲
中部地方
- 石川県金沢市 - 金木犀の匂う道(1980年)[14]
- 石川県羽咋市 - 羽咋市市民憲章「ちかい」の歌(1973年)[15]
- 福井県あわら市 - あわら市民憲章(2009年)★[3]
- 愛知県豊橋市 - 豊橋市民愛市憲章テーマソング「つつじ」(2023年)[16]
- 愛知県東海市 - 東海市市民憲章歌(1978年)★[17]
- 愛知県豊田市 - 豊田市民の誓いのうた(2018年)★[18]
- 愛知県蒲郡市 - 蒲郡市民憲章の歌(1973年)
- 廃止楽曲
近畿地方
中国地方
- 岡山県総社市 - 総社市民憲章の歌(2007年)★[21]
- 岡山県久米郡美咲町 - ~心のふるさと~ MISAKI TOWN(2018年)★[22][23]
- 山口県下松市 - 市民憲章マーチ(1974年)
- 廃止楽曲
九州・沖縄地方
参考文献
- 釧路市史編さん事務局 編『新釧路市史』第3巻(釧路市役所、1972年) NCID BN02783800
- 夕張市史編さん委員会 編『夕張市史 増補改訂』下巻(夕張市役所、1981年) NCID BN01678629
- 石坂まさを『日本全国歌文化 石坂まさを一人旅して』(ぎょうせい、1987年) NCID BN02043054
- 石川県教育委員会文化課 編『石川の文化'80』(石川県教育委員会、1981年) NCID BA33275438
- 鈴木リデヤ『ふるさと羽咋のうた』(北国出版社、1981年) NCID BC18880401
- 東海市史編さん委員会 編『東海市史』通史編(東海市役所、1990年) NCID BN03563730
出典
- ^ 全国市長会『市政』1957年5月号, p105
- ^ a b “市民の歌”. 札幌市役所. 2025年1月13日閲覧。
- ^ a b “市民憲章|あわら市”. あわら市役所. 2025年1月13日閲覧。
- ^ “釧路市民憲章の歌”. 釧路市民憲章推進会議. 2025年1月13日閲覧。
- ^ 新釧路市史3(1972), p275
- ^ 夕張市史・下(1981), p720
- ^ “田子町民憲章ふるさと賛歌”. 田子町の町章・シンボル・町民憲章・歌. 田子町役場. 2025年1月13日閲覧。
- ^ 岩手県二戸市「市民憲章」のうた - YouTube
- ^ “令和5年度地域づくり活性化事業費助成金活用事業 郷土・けせんぬま探究講演会”. 気仙沼市民憲章推進協議会 (2024年2月). 2025年1月13日閲覧。
- ^ 石坂(1987), pp210-212
- ^ “通常展示フロア出品目録”. 市川市文学ミュージアム (2015年1月). 2025年1月13日閲覧。
- ^ “品川区民憲章制定30周年記念 組曲「しながわ物語」”. 品川文化振興事業団. 品川区役所 (2013年3月). 2025年1月13日閲覧。
- ^ 石坂(1987), pp144-147
- ^ 金沢市民憲章の歌「金木犀の匂う道」 - YouTube
- ^ 鈴木(1981), pp16-17
- ^ “豊橋市民愛市憲章”. 豊橋市役所. 2025年3月9日閲覧。
- ^ 東海市史編さん委員会(1990), p773
- ^ 豊田市民の誓いのうた体操 - YouTube
- ^ 石川県教育委員会(1981), p69
- ^ “京都市市民憲章の歌”. 京都市情報館. 京都市役所. 2025年1月13日閲覧。
- ^ “みんな覚えてね 市民憲章の歌”. 『広報そうじゃ』2007年5月号, p12. 総社市役所 (202007-05-01). 2025年3月7日閲覧。
- ^ “美咲町民憲章が歌になりました”. 美咲町役場 (2018年5月9日). 2025年1月13日閲覧。
- ^ “■美咲町民憲章曲”. 美咲町第三次振興計画(令和6年3月改訂), p330. 美咲町役場 (2024年3月). 2025年2月1日閲覧。
- ^ “市民憲章のうた”. 北九州市役所. 2025年1月13日閲覧。
- ^ “垂水市市制施行60周年記念式典”. 『広報たるみず』2018年11月号, pp8-9. 垂水市役所 (2018年11月1日). 2025年1月13日閲覧。
- ^ 八重山毎日新聞、2015年2月9日付「25団体が活動成果披露 生涯学習フェスタ」。
関連項目
憲章歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 16:25 UTC 版)
市町村や東京都の特別区が制定した自治体歌の他に「市民憲章」や「市民の誓い」他の自治憲章に関連して制定される楽曲が存在する。例えば京都市では「京都市歌」の他に「京都市市民憲章の歌」、北九州市では「北九州市歌」とは別に市民憲章のうた「緑のまちにしませんか」が定められている。 札幌市の「市民の歌」は一般に市歌とみなされているが、市ではなく外郭団体の札幌市民憲章推進会議が制定主体とされる。 岩手県二戸市、福井県あわら市、鹿児島県垂水市では市民憲章の条文をそのまま歌詞に転用して曲を付けた「市民憲章の歌」が制定され、市歌に相当する楽曲の扱いを受けている。
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