憲章上の権利にあらず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/31 21:40 UTC 版)
「1982年憲法法第35項 (カナダ)」の記事における「憲章上の権利にあらず」の解説
先住民に直接関係する憲章のなかの項は、第25項である。そこでは、Charter rights do not diminish Aboriginal rightsと述べられているにすぎない。したがって、それは第35項と同じように重要だとはいえない。「憲章」は'1982年憲法法'の第1部を形づくるが、第35項は第2部に配置されている。憲法におけるこのような配置は重要だと考えられる。ケント・マクニールの述べるところでは、第35項の意味は先住民による自治政府を許容するものではあるが、その一方で、憲章は個人の権利についてももっと配慮が必要なのだという。ピーター・ホッグの論じるところでは、憲章から第35条を除いたことには否定的かつ肯定的な効果があるのだという。第35項は第1項あるいは第33項から制限を受けない。だが、権利侵害に対する是正措置を認める憲章の第24項は、第35項に対しては効力を持たない。さらには 「女王対スパロー」判決において、裁判所は、ホッグがオーク試案の第1項と比較した、第35項を制限するための検討をくりひろげた。 こうしたことにもかかわらず、F・L・モートンやライナー・クノップフといった研究者は、憲章をめぐる裁判や高まる法的裁量権への批判のなかで、第35項をあたかも憲章の一部であったかのように扱っている。彼らの述べるところによると、"第35項は技術的に言えば、憲章の'外側'にあるが、カナダにおける最も目立った人種的マイノリティがもつ特別な権利、--法廷において強制力を有する権利--の宣言として、憲章による革命の重要な一部となっているのだという。"
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