徹底抗戦説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 08:24 UTC 版)
自決の前に「米内を斬れ。」と口走っていることなどから、実際は最後まで抗戦派であったのではないかと、その発言の真意をめぐる議論がある。阿南の本心はあくまでも陸軍の名誉挽回のための一戦を交えるというもので、まずは自らの自刃で陸軍将兵の士気を鼓舞してから、その後、決起した陸軍将兵が和平派の米内を殺害し、海軍の決起の障害を取り除けという意味であったとの推測する意見や、作家の半藤一利は、絶対主義天皇制を信じる阿南は、本土決戦の混乱による共産主義革命を恐れ、早期に降伏し、天皇機関説に則って機関としてだけでも天皇制を残そうと画策していた米内を不忠であると思っており、このような発言に至ったと推測しているが、この言葉を阿南から直接聞いたと証言した竹下によれば、阿南は終戦に関して米内と散々議論してきた直後でもあり、母親の死後絶っていた酒を久々に口にして酔っていたことや、自決前の気持ちの高ぶりもあって、この言葉には深い意味はなく、つい興奮のあまりに口走ってしまった感じだったという。その証拠として、この発言のあとに米内に関する話を続けることはなく、すぐに他の話題に移ったことをあげている。阿南の秘書官であった松谷誠中佐も竹下と同じく「意味のない言葉だったんでしょう」と証言しているが、その根拠としては、「日頃から阿南さんは、深く考えてものをいう人ではなかった。自分の言葉の影響も余り考えず、瞬間的に頭にひらめいたことをすぐに口に出す人でした。それだけに、無邪気な、気のいい人だったと思います。」と阿南の普段の人柄を挙げている。 またそのほかに、竹下とともに、阿南の自決に立ち会った井田による、阿南が求めていたのはただ国体護持のみであり、その目的のためあらゆる可能性を残しておくべく、抗戦派・終戦派のいずれにも解釈できる態度を取っていたいう見解や、秘書官林のように、阿南自身、戦争を早期に終結させるべきか、本土決戦を目指して抗戦を続けるべきか迷っていたという見解もある。
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