役小角の大天狗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 17:45 UTC 版)
役行者は、日本の修験道の始祖にして、山嶽宗教を打ち立てた鼻祖である。役行者の行跡については早く『日本書紀』に記載され、続いて『日本霊異記』『今昔物語』と彼の山嶽修行の厳しさと、無双の神通者であることが記載されている。呪験を得てからの行者はほとんど山を住処として、木の実を食し、木の葉を行衣とし諸山を巡り、葛城山では山神一言主命を使役し、河内生駒山では二鬼を折伏し、大峯山中では前鬼・後鬼を従え、雲に乗る。水をくぐるは元より、その通力は止まるところを知らなかったという。行者の神異と数々の呪験は国史の上でも認めるところで、寛政11年(1799年)、「神変大菩薩」の諡号が贈られており、また吉野熊野を結ぶ山伏の峯入道を開いた業績が、多くの末流を生み、彼の奇跡と伝説をより荘厳なものとしている。 そのような華々しい業績を残している行者だが、彼は大天狗の一狗としても数えられている。「石鎚山法起坊」がその狗名である。役行者の大天狗とあってはいかなる妖怪・魔怪の類も服せざるを得ないだろうとして、天狗の中でも別格とされている(役行者ではなく役行者の師であるという説もある。こちらの場合でも役行者の師匠という事で絶大な霊力を持つとされ、やはり別格扱いされている)。 このように、大天狗となる者の中には、その前世に優れた業績や霊力や呪力を持つとされていた人物が少なくない。そしてそうした事実が、人々の心にあった天狗の格を上げていき、害を成す天狗にいたっては大魔王として扱われるようになったのである。
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