平面三角形型炭素のプロキラリティー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/10/15 19:12 UTC 版)
「プロキラリティー」の記事における「平面三角形型炭素のプロキラリティー」の解説
例として、アセトフェノン(メチルフェニルケトン)のカルボニル基に水素が付加して 1-フェニルエタノール(α-メチルベンジルアルコール)となる水素化反応を考える。アセトフェノンはもちろんアキラルな(キラルでない)化合物だが、生成物のアルコールは不斉炭素を持ち、キラルな化合物である。すなわち、アセトフェノンはプロキラルな化合物である。そしてその水素化反応においては、プロキラル中心である sp2型カルボニル炭素の平面(プロキラル面)に対し、裏表のどちらの面の方向から水素が付加してくるのかが、生成物のアルコールのキラリティ (R か S か)を決めることになる。もしも不斉水素化であれば、生成物の立体選択性は、水素がどちらの面に付加するかという選択性に等しく、これは面選択性と呼ばれる。 面選択性を議論する場合などに、2つのプロキラル面を Re面 (Re-face)、Si面 (Si-face) と呼ぶことがある。その表記法を概説する。 問題とする面が正面を向くように、プロキラル中心炭素とそこへ結合している 3つの置換基を描く。 3つの置換基の優先順位を CIP則(Cahn-Ingold-Prelog則)にしたがい優先順位をつける。 1番目、2番目、3番目となった置換基が、その順に時計回りに配置していれば、問題とした面は Re面と呼ぶ。反時計回りであれば Si面と呼ぶ。 この方法によれば、付加する化学種の種類にかかわらず、面の呼称が一意に決まる。なお、 Re、Si、の呼称は、立体化学を表す R、S 表記と同様に、ラテン語で右、左を意味する言葉、rectus、sinister に由来する。
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