帯域制限のある伝送路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/05 02:44 UTC 版)
もう1つの符号間干渉の原因は、帯域が制限された伝送路(すなわち、ある遮断周波数以上の周波数特性がゼロの伝送路)で信号を転送することである。このような伝送路で信号を送ると、遮断周波数以上の周波数成分が除去され、遮断周波数未満の周波数成分もある程度の減衰を生じる。 これは言わば信号がフィルタ回路経由で受信されるようなもので、パルスの波形が変わってしまう。左図にあるように、もともと矩形のパルスだった信号が帯域制限によって大きく変化する。この影響は特定の符号の範囲内で収まるものではなく、それ以降の符号列にも影響を与える。メッセージをこのような伝送路経由で送ると、個々の符号のパルスの変形した波形が相互に干渉してしまう。 多重伝送とは異なり、帯域制限伝送路は無線だけでなく有線通信にも存在する。帯域が制限されるのは、複数の信号を同じ領域/ケーブルで転送するためであり、そのために全帯域幅の一部だけが各系に割り当てられる。無線では電磁スペクトルの一部が転送に割り当てられる(例えば、FM放送では一般に 87.5MHz から 108MHz が割り当てられる。日本では 76MHz から 90MHz)。この割り当ては各国政府が行うのが一般的で、アメリカ合衆国では連邦通信委員会(FCC)が管轄する。光ファイバーなどの有線では、割り当てはケーブルの所有者が決定する。 帯域制限は媒体の物理的性質による場合もある。例えばケーブルには一般に遮断周波数があり、それ以上の周波数の信号は転送できない。 帯域制限のある伝送路上でデータを転送する通信システムは、帯域制限による干渉を防ぐためにパルスシェーピングを実装するのが一般的である。伝送路の周波数応答が平坦でシェーピングフィルタの帯域が有限であれば、符号間干渉が全くない状態で通信できる。事前に伝送路の応答特性が分からないことが多いため、任意の周波数応答に対応できるよう適応イコライザを用いる。
※この「帯域制限のある伝送路」の解説は、「符号間干渉」の解説の一部です。
「帯域制限のある伝送路」を含む「符号間干渉」の記事については、「符号間干渉」の概要を参照ください。
- 帯域制限のある伝送路のページへのリンク