師マルパとの出会い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 09:18 UTC 版)
その後自らの悪業の報いに恐れを抱いて真の仏法を求めるようになったミラレパは、ニンマ派の奥義ゾクチェンを成就した高名なラマ、ロントン・ラガに弟子入りしたが、ラマに帰依することが出来ず、何の霊的進歩も起こらなかった。そこでロントン・ラガは、ミラレパに前世からのカルマ的な因縁のある、別のあるラマの下に行かなくてはならないと告げる。 そのラマこそが、ミラレパの生涯の師となるマルパ・ロツァワ(中国語版、英語版)であった。マルパは、インドの聖者ナーローパ(中国語版、英語版)、マイトリーパ(英語版)ら直伝の新訳密教の法脈を伝える成就したラマであり、訳経師であった。ミラレパはマルパの名前を聞いただけで心が喜びに満たされ、戦慄が全身を貫いて髪の毛は逆立ち、涙はこぼれ、激しい信仰心が呼び起こされたという。 ロントン・ラガの下から送り出されたミラレパは、ロダクという谷にあるトールン村の寺院に住むラマ・マルパを訪ねて、入門を乞うた。 マルパはミラレパが初めて自分を訪ねて来た日の早朝、ある霊的な夢を見ていた。師であるナーローパの命で、わずかに汚れた水晶の金剛杵(ドルジェ)を甘露で洗い勝利幡(ギャルツェン)の上に掲げると、それはまばゆいばかりの光を放ち、その光を浴びた六道の有情がすべて済度されて至福に満たされ、勝利の神々が上方から祝福を述べているという夢であった。また妻のダクメマも同様の夢を見ており、これらによりマルパは、ミラレパが師ナーローパとダーキニーによって授けられた特別な弟子であることを最初から知っていたと伝わっている。
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