巫の能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 21:20 UTC 版)
巫は一般には、次のような存在と受け止められている。 神や精霊など、神界・霊界・自然界の超物理的な存在と交流する力または立場を持っている。この交流を交信ともいう。 祈祷などの手段で己の意識を神懸かりの状態(トランス状態の一種とも言われている)に置き、交信する対象の存在に明け渡すことで、対象の言葉(託宣、神託)を知ったり人々に伝えたりすることができる(伝えることを役割とする)。 即ち一種の超常的な力を持ち、超常的な存在と交信する能力があって、それを以て的確な答を神託を求める人々に返すことができると見なされている。 一方、神託を授けていた一部の巫は、もっと現実的な別の能力に優れていたらしいことが、最近の研究で指摘されている。それは即ち、情報収集力と、政治的視野に立った判断力である。 例えばギリシャのデルポイにおけるアポロンの神託は、古代ギリシャ世界では大変な権威を持っていた。そのためデルポイには各地から都市国家の使者を含む多くの人々が集まり、またそれを目当てに無数の民衆も集まっていた。そして神託を下すアポロンの神官たちは実は、デルポイに集まる群衆から各地の情報や巷の噂などを収集し、それらを総合して独自に世界情勢を把握していた、という。 古代日本では邪馬台国の卑弥呼が巫女だったと考えられている。また、ヤマト王権でも代々、巫女たちが国家権力の一部になっていたとする見解もある。このように、祭政一致の古代においては、巫女が政治に参画していたとする説がある。
※この「巫の能力」の解説は、「巫」の解説の一部です。
「巫の能力」を含む「巫」の記事については、「巫」の概要を参照ください。
- 巫の能力のページへのリンク