崇徳上皇の大天狗
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天狗譚の中でも崇徳上皇の話は有名である。『保元物語』『雨月物語』などの軍記物語では崇徳上皇は「日本国の大魔縁となり、皇を取って民となし、民を皇となさん」と、自らの舌を食いちぎり、その血潮で大乗経に呪詛の誓文を記し、海底に沈めた。死後は怨霊、天狗となって人間界を荒らしたとされる(一方で崇徳院が実際に詠んだ歌や『今鏡』では、悲嘆の感情はあるものの怨念を抱いていた様子はない)。ざっと紹介すると、毒の息で都に疫病を流行らせ貴族や大臣を病気や死に追い込み、延暦寺の強訴、鹿ケ谷の陰謀などを引き起こしたとされ、「安元の大火」も別名「太郎焼亡」ともよばれ崇徳上皇(愛宕山太郎坊という別説もある)が起こしたとされる。この際、崇徳上皇に恐れをなした後白河上皇(自身も崇徳上皇が原因とする病魔に冒されていた)やその側近たちは、これを鎮めるために「崇徳院」の名を贈り、頓証寺を建てるなどをしたが、その甲斐なく病状は日増しに重くなり遂には崩御してしまう。 現在崇徳上皇は「白峯神宮(旧称白峯宮)」に祀られている。王政復古の時に孝明、明治両天皇が、崇徳上皇の怨念の発現を恐れ、神として祀りあげたためである。
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