尿素の化学合成と異性現象の発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 09:56 UTC 版)
「フリードリヒ・ヴェーラー」の記事における「尿素の化学合成と異性現象の発見」の解説
ベルセリウスの研究室で、シアンガスとアンモニアからシュウ酸アンモニウムと白色結晶が得られた。この白色結晶が何であるか留学中は確定できなかったが、1828年に尿素であることがわかった。当時有機物は動植物の中で生気の力により作られると信じられていたが、ヴェーラーは無機物から有機物を人工的に作り出すことにより、動物精気によるとされていた有機化合物の合成が人工によって可能であることを示し生気論に打撃をあたえた。 ヴェーラー以前は、同じ組成を持つ化合物が異なる物理・化学的性質を持つ異なる構造の化合物(異性体)として存在することはないとされていた。しかし、シアン酸アンモニウムが質量の変化なしに尿素に変換することを示したことから、従来の説を覆し異性体と異性化が発見された。この発見が契機となり、リービッヒとは生涯にわたる友情を結ぶこととなる。1830年、ヴェーラーはリービッヒとともにシアン酸とシアヌル酸そして尿素に関する研究結果を発表した。ベルセリウスはスウェーデン王立科学アカデミーへ宛てた報告の中で、発表された研究結果は物理・化学そして鉱物学の分野における研究の中で最も重要なものであると述べた。
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