小原と短歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 10:26 UTC 版)
「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の記事における「小原と短歌」の解説
死刑確定後、「何か拠り所を持たせてやらなければ」と考えた教誨師が小原に勧めたのが短歌だった。小原は1969年(昭和44年)6月以降、「土偶短歌会」に入会。次第に教誨師へ心を開き短歌を始めるまでに精神状態は落ち着いた。小原の短歌は同人誌『土偶』主宰者の指導により上達。小原は「福島誠一」のペンネームで投稿し、朝日歌壇に選ばれたりした。死刑執行後の1980年(昭和55年)に出版された歌集『昭和万葉集』(講談社)に小原の短歌が掲載され、3年後の1983年(昭和58年)に『氷歌 - 吉展ちゃん事件から20年 犯人小原保の獄中歌集』(中央出版)が出版される。「福島誠一」の名前は「今度生まれ変わる時は愛する故郷で誠一筋に生きる人間に生まれ変わるのだ」という願いが込められていた。彼が投稿した短歌は370首にも及んでいる。 死刑前日に小原が詠んだ短歌は 怖れつつ想いをりしが今ここに 終るいのちはかく静かなる 世をあとにいま逝くわれに花びらを 降らすか窓の若き枇杷の木 静かなる笑みをたたえて晴ればれと いまわの見ずに写るわが顔 明日の日をひたすら前に打ちつづく 鼓動を胸に聞きつつ眠る この4首である。
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